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危うし!小学校英語 (文春新書)

価格: ¥767
カテゴリ: 新書
ブランド: 文藝春秋
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怒りを抑えた冷静な説明 ★★★★★
「小学校からの英語、大反対」というのは同感だが、どのように説明し、説得するのか、興味があった。

異文化コミュニケーションが専門の鳥飼さんとしては、怒りを抑えて、冷静に説明しているが、内容をよく読むと、文部省、推進派ボスの某大学教授、そして国民を変にあおっているマスコミなどには非常に腹を立てていることが言葉の端端に感じられた。
外国語の問題ではなく、日本国内での異文化(推進派と反対派)のぶつかり合いの問題であり、それをどのように解決するか、という課題であることもわかった。

ちなみに、『「子ども英語」でなく、「大人の英語」が大切』、というところは参考になった。
―相手の意見や立場を理解した上で自分なりの考えをきちんと説明する。・・・批判的に考えることは、むやみに反対することでもないし、けんかを売るものでもない。・・・反対する時には、それなりの言葉づかいで相手の気持ちを傷つけないように配慮するというのは、英語も日本語も同じ。・・・意見をぶつけ合いつつも、調整を行い、どこかに落としどころを見つける。そうやって、お互いにあきらめずに交渉し、人間関係を構築するのがコミュニケーションです―ということを本書で実践していて好感が持てた。

ただ、お茶大の藤原教授のように次のようにガツンと言ってくれる人にも頑張ってほしい。「英語第二公用語論のような恥ずべき論が、日本の代表的知性を集めたと見られる懇談会から堂々と出てきた所に、我が国が当面する状況の真の深刻さがあるように思う。」(『祖国とは国語』から)




プレッシャーに負けるエリートたち ★★★☆☆
何年勉強しても英語ができるようにならないという不満を抱える世間。バブル崩壊後、人材を一から教育する余裕がなくなり、英語力などのすでに備わった即戦力を求める産業界。「英語を使えるようにしてほしい」というプレッシャーを世間と産業界からかけられた文部科学省の対応策のひとつが、この天下の愚策である小学校での英語必修化である。この分析は興味深かった。

以下、意見。エリートは時として世間の意向に反してでも方針を決めるべきこともあると思う。特にここまでわかりやすい愚策はないのだし、もっとその世間なり、産業界なりに対峙してもよかったんじゃないかと思う。空気に流されたか。

昔の国家のエリートが毅然としていた例がある。明治後期に英語熱が世間で起こったそうだが、文部省はそれに迎合しない見解を示す。つまり英語は元々学習するのが大変だから、学力に余裕があった語学の才能がある人は別として、世の流行だからといって学習するのはいかがなものかというのだ。(斎藤兆史『日本人と英語』参照)

まあ民主主義的であろうとするのはよいと思うが、民衆の考えが無根拠の妄想である場合、それに対決して啓蒙しないのはエリートとして怠惰だと思うのだが。
小学校の英語教育が機能不全で効果が見られないことを、この本を通じて知ってほしい。 ★★★★★
日本の英語教育の未来を考えるために、国民みんなが読んで、大論争をするほどの価値のある本。

小学校での英語教育導入への反対論。様々な事例を挙げることにより、小学校で英語教育が導入されたとしても、ほとんど成果があがらないどころか、むしろ様々な問題点が生じることを論じている。外国語獲得は、中学校からでも全然遅くない(むしろ、それくらいからはじめたほうがいい)のにもかかわらず、「早ければ早いほど」よいという誤解に振り回され、小学校での英語教育導入を望み、また、小さな子どもを持つ親たちが、早期英語教育に明け暮れることが、いかに滑稽なことであるのか。また、我々にとっての英語のあり方について。どのような英語を学ぶべきか、いかにして学ぶべきか、我々にとって英語はどうあるべきか。

また、センター試験の英語でのリスニングテストについての批判も展開。受験英語のあり方についても、素晴らしい指針を示している。

少なくとも、小学校での英語教育が不要なものであることは、この本を読めば、きっと納得させられるだろう。新書で、小学校英語反対論を丸々扱った本が出版されたことは、未来の日本の英語教育にとって、かなり価値のあることだと思う。誤った方向に舵が進まないことを望みたいのだけれども。。。
英語は簡単ではない ★★★★★
学校英語では英語が話せるようにはならないという人が多いらしい。
最近学習塾でバイトをするようになって一層そう感じるのだが、
英語に限らず大半の人にとって学習とはテストのためにするもので
テストが終われば忘れてよいものである。そして実際忘れる。
そのような学習で今日まで乗り切って来た人には、
決して学校英語を批判してほしくないのである。

著者が批判する英語に関する俗論はほとんど英語産業の
作り上げたものではないかとも思うのだが、
その業界最大手(?)が倒れた今、すこし冷静になって
こういった本で自分がどのように英語を学ぶのか
あるいは自分の子どもにどのように学ばせるのか
熟考すべきではないだろうか。
英語の習得は、英語産業が囁くほど簡単ではないし、
きっと「話せる」人はそのことをご存じなのだろうと
「話せない」側の人間として思うのである。
「英語が仕事」の人の限界か ★★★☆☆
鳥飼玖美子さんと言えば、アポロの時に同時通訳でかっこいいなあと思っていたし、最近も教育テレビでセンスの良い英語番組をしておられたので、買ってみた。それに、小学校から英語教育をするのに対して私も批判的だしね。でも、期待通りに快刀乱麻とはいっていなようだ。

全体として雑然とした印象を受けた。小学校から教えることに対する批判、現在行われている会話中心教育に対する批判、ALT 制度の不備に対する批判、などなどが、並列に並んでいて、メリハリがない。で、どうするかと言う話も英語教育理論をなぞっている感じで迫力ない。最後の中学で15人学級にして英語週3時間を6時間にするという提案は、夢みたいなこと言っても仕方ないですよ。他の教科だってあるんだし。それに、文法が大切だと力説する衣の影から、現在の英語教育擁護の鎧がちらちら見える。私だって、学生さんと英語の本の輪読をやって、文法が大切なのは身にしみてるけど、過去の文法教育が成功していたとはやっぱり思わない。

その辺は『日本の英語教育』の山田雄一郎氏と同じように、英語を仕事にしている人の限界ではないかという気がする。大衆に迎合した会話中心教育も問題だけど、過去に行われてきた「翻訳主義」「文法主義」的な教育に戻るわけにはいかないのよ。