オープニングトラック"Last Day Of Winter"、雄大にたゆたう重厚なヘヴィ・リフは、やがて迫り来る轟音の濁流と化し、全てを飲み込み、薙ぎ倒す。一転、心地良い気だるさと戯れる、メロウなクリアギターと共に幕を開ける"Autumn into Summer"は、その眩いフレーズが大きな螺旋を描きながら上昇し、やがて美しいディストーションギターの旋風となって吹き荒れる。否応なく身体に作用するド級のへヴィ・リフと、激しくスネアを打ち鳴らすドラミングが次第に過熱し、渾然一体となって昇華するこの楽曲により高まった期待、それを確信へと導くのが、先行EPともなった"March into The Sea"。荒れ狂う漆黒の大海を想起させる、絶対的な力を持った重厚なリフ、それが完璧に計算されつくした緻密な構成の檻の中、暴れ、のたうち、空を舞う。中盤で姿を現すダイナミックかつメロディアスなギターリフに悶絶している暇もなく一気に加速、畳み掛けてくる怒涛の展開、とどめとばかりに3重、4重に厚みを増す轟音の終局は、呆れるぐらいにカッコ良い。頭を振り振り、口あんぐり。
母なる大地が放つ膨大なエネルギーを具象化したような音像群は、どれも驚異的なスケールを誇る。ただ激しいだけ、美しいだけ、優しいだけでは到底辿り着けないレベルに達している。全てを委ねてしまいたくなるような強さと大きさを併せ持った素晴らしい作品。