厚いし、出版社は「大学出版会」だし、言葉遣いもカタいし、教科書みたいだし、とっつきにくいかもしれない(表紙は綺麗だけど)。でも、著者の柏木さんは、家族の問題については、筋金入りの偶像破壊者。その偶像破壊者が前著『子どもという価値』(中公新書)をさらにバージョンアップし、家族の様々な問題を心理学の視点から、あるいはまた心理学の様々な知見を「家族」という観点から、縦横無尽に論じつくす。
「やっぱり三歳までは母親が必要だ」とか「父親には規律を教え込む役割が適している」とか「非行少年の家庭には片親家庭が多い」とか「専業主婦は楽だ」とか、こういった「通説」を信じてたら即一読すべし。辛抱強く読んでくうちに、理論的に、そしてデータ的に、自分が信じてた「通説」が「偶像」としてがらがら砕けおちる快感を味わうことができるのだ。