本書には、理科の授業、科学クラブ、総合学習などで活用されることを想定した150を超える理科実験が集められている。テーマ選定のコンセプトは「おもしろく、やりがいのある実験・ものづくり」である。子どもがやりたがるか、やるとおもしろいか、複雑高度すぎないか(小学校中学年以上を想定)に加えて、発展させられるか、に主眼がおかれている。
取り上げられるテーマは物理、化学、生物、地球と各分野にわたる。塩酸と水酸化ナトリウム水溶液でミカンの皮をむく(缶詰みかんの状態)実験や、高分子吸収体(紙おむつなどに使用)の実験など、科学の技術が日常生活でどのように応用されているかが理解しやすいものが多い。
イラストや写真が多用され、実験手順や結果がていねいに解説される。所要時間や実験に必要なもの(およびその入手方法)などとともに、安全面での注意やうまくいかないときの原因と対策の説明もある。惜しむらくは、カラーでないこと。たとえば光の実験や化学変化を色で見る実験などだけでも、カラーページにできれば。さらに言えば、動画(CD-ROM)があるとよりわかりやすい。この点は予算の問題もあり価格設定にも影響するため、ひとことでは言い切れない問題ではあるが。
実験室だけでなく、家庭でできる実験もたくさんある。親子のコミュニケーションツールとして使うのも楽しいだろう。(佐伯秀子)