インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

ヴェネツィアの悪魔 上 (RHブックス・プラス)

価格: ¥882
カテゴリ: 文庫
ブランド: 武田ランダムハウスジャパン
Amazon.co.jpで確認
18世紀と現代の物語が同時並行する幻想ミステリー ★★★★☆
2つの時代の「恋と裏切りと陰謀」の物語が幻想の海の都を舞台に、「華麗な旋律」とともに展開されます。音楽好き、ミステリー好きにはたまらない設定です。最初は、交互に展開される2つの時代の話が交わりのないままに進み困惑しますが、次第に収束に向かい、最後に二つの時代が一つの恋の物語として終焉する筆者の展開力に感服しました。ベネチアには2回旅行をしました。冬の垂れこめる雲の下の灰色の海、暗い夜と街灯。一転して夏に訪れた際の輝く海とサンマルコの威容。ページをめくりながら旅を思い出しました。  
迷いながら選びとってゆく主人公 ★★★★☆
評価がまっぷたつに割れていることから、この本を楽しめる人はどんな人を考えつつのレビュー。

ストーリーの面白さを追いかけるタイプのミステリファンには、不向きかもしれない。
しかし、ロマンチックな歴史ロマンス小説が好きな人、洋物の恋愛小説の好きな人、お行儀のいい青年主人公に、自己投影できる人なら、堪能できるだろう。ヒューソンファンには、いわずもがな。

ヒューソンの作品の主人公は、たいていは善良な、という言葉がぴったりくる青年である。強引ではない、自己主張も強くない。秀才で人当たりがよく、女性には引っ込み思案で、女性に対しては徹底的に受け身である。
一度流れにのると奔流に身を任せる。このあたりの描写は本当にうまい。翻訳も見事で、文学的である。

ただこの作品では、過去の場面と現在の場面の語り口がちがうため、違和感があるのが残念。
過去の人物たちも充分に魅力的なのだが。
ベネチア旅行のお供に ★★★★★
音楽とアートと伝説と人間模様がベネチアンガラスのように溶け合った名作である。
もしもベネチアに2-3泊するのであれば、これは道中、そして行った後で読むには最高のスリラー小説。
ベネチアは街そのものが観光名所である。サンマルコ広場やドージェ宮殿は言うまでも無い。この小説は現代と18世紀にまたがって書かれているが、18世紀初頭まだ電気もないベネチア。夜になれば酔っ払いがドボンと落ちたに違いない。
そういうリアリティとともに、生活者にとってみればスクオーラという所謂共済団体の役割が大きかった。現在もスクオーラは活動しているし、当時はアートを競っていたのだ。この本は当時の生活者がスクオーラサンロッコに持っていたイメージを再現している。そして今でも見ることができる。オリジナルタイトル Lucifer's Shadowの悪魔は、ティントレットの画題として、今でも見ることができる。
さらに大運河に不思議な印象を残すカ・ダリオや新ゲットー(新とつくが、もちろん一番古い)もこの本がガイドしてくれる。
またビバルディ、ジャンジャックルソーといった当時のスターをとにかく人間くさく、ストーリーに織り込んでいる。さらにはガルネリやパガニーニまで。
本年度ナンバー1! ★★★★★
まちがいなく今年のナンバー1!
いや、近年読んだ小説のなかでもこれは出色の一冊だ。

18世紀と現代が、あるヴァイオリン・コンチェルトをめぐって交錯し、どちらの時代でも同じような物語が進行する。音楽小説としても、青春小説としても読めるサスペンス小説。
これは、ジェフリー・アーチャーと逢坂剛を足して二で割ったような小説−−といってもいいかもしれない。

ただ一点、ヴィヴァルディのようなコンチェルトがこんにち新作として披露されても、本書で描かれているような騒ぎにはなるまい。
あるいはそう思っている半可通を黙らせるほどの名曲なのかもしれないが。