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ヒトデガイドブック

価格: ¥2,520
カテゴリ: 単行本
ブランド: 阪急コミュニケーションズ
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「これはなにヒトデ?」と分類学的に観るには便利な写真図鑑。 ★★★☆☆
 この本の「序にかえて」には、「TBSブリタニカのガイドブックシリーズにはそれぞれにそれなりの特色がありますが、ダイバーのためのガイドブックという編集目的のため・・・動物分類学的価値の高いものになっています。」とあります。ダイバーさんが「これはなに?」と調べるための図鑑、としては大きさも手ごろで持ち運べるし、写真も豊富なのでなかなかよいのではないでしょうか。
 部分の名称などはかなり専門的な解説です。個々の種の説明にも、同定のために必要なこれらの用語が頻出します。マンジュウヒトデが五放射の形から徐々に角がなくなって「饅頭」になっていく過程が良くわかる組図はわかりやすくてなるほど、です。色の変異体も多種載っていて調べる人にはありがたいでしょう。
 
 前に「ナマコガイドブック」が「・・という生き物を知る」という意味で総合的に良く出来ていたので、「シリーズが欲しい」と書評に書きました。本屋に行ったら、出版者は違うのですが、大きさも装丁もとてもよく似た「海産物ガイドブック」シリーズが既に出ていました。これはその一冊です。出版社が違いましたが、本当にみかけは「単為生殖」したぐらい似かよっています。英語のタイトルの形式も同じですし。ただ、「ナマコガイドブック」の印象が私には強かったので、その生き物を多角的に知りたい、という欲求を満たすには少し方向が分類学へ強く限定されているように思えました。幾つか生態学的なコラムもありますが、参考文献も分類や図鑑だけなので、生物学関係だけでなく文学など、少し幅を広げて載せてあれば、と残念。多分このシリーズ全部の編集方針の結果でしょうね。

 ヒトデはいろいろな体色の変異(カラーバリエーション)があります。その例の写真も豊富に載っていて興味深いのですが、何故変異が出るのか、場所のせいか、生理的なものか。変化するのか。なにか変わった色素を持っているのか。色をみているだけでも様々な疑問が湧いてきます。
 「棘皮動物は五放射相称」なのですが、ヒトデのなかには「この種は小型で6腕」と書かれているもの(ウミカラマツクモヒトデ)、「10−11腕が多い」と書かれているものもあります(エゾニチリンヒトデ)。基本の5からどのように変化していくのでしょうか?わかっていなくても研究してしている人はいるのでしょうか?仮説はあるのでしょうか?
 「これはなに?」の次に興味を広げるてがかりがもう少しあれば、と写真も充実し、分類もきちんとしているので欲張って希望してしまう「図鑑」です。(多分このシリーズ全て?)
写真は素晴らしい。でもコラムの中身に一言・・・ ★★★★☆
ヒトデを含む棘皮動物を扱う研究をしているので、大いに楽しんでいる。ただ、単為生殖(処女生殖)についての記載に間違いがあり、研究者としては残念。本書では「イトマキヒトデを含む数種で1-メチルアデニンにより人為的な単為生殖が可能」と記載されているが(p.60)、1-メチルアデニンはヒトデ類一般の成熟誘起ホルモンであり、単為生殖は起こさない。単為生殖には極体放出の阻害(サイトカラシンB)と人工付活(カルシウムイオノフォア)が必須。これらの処理により、本来極体に捨てられる中心体(複製能を持つ)が卵内に残り、卵割の分裂極として働くため、単為生殖が起こると考えられている(イトマキヒトデ)。