エッセンスの流用が活用の秘訣
★★★★☆
データベース設計の入門書を見ると、繰り返し項目をなくし、一つの事実は一箇所で管理――正規化――するよう書かれています。不具合の発生を防ぎ、堅牢性を高めるためには重要なセオリーです。
ところが本書では、敢えてセオリーからはみ出して、次のような「自由で柔軟な使いやすいデータベース」に挑戦しています。好きな場所に入力できれば自由度は高くなり、都道府県のデータをグラフィカルに比較できればアピール度満点です。
・サブフォームを使わずに直接テーブルに保存する表
・エクセルのように好きな場所に自由に入力できる表
・都道府県の位置関係が一目瞭然の日本地図フォーム
問題点としては、データ管理の効率が悪いことと、セオリーどおりに作るより数段手間がかかることです。この本のサンプルを拝借するにしても、テーブルの再設計やフォームの修正が必要なので、仕事に使うには二の足を踏んでしまいます。
入力の簡素化や利便性を高める工夫など着眼点は素晴らしいので、そのエッセンスを流用することが本書を活用する秘訣だと思います。