「隣の女」、「終電車」、「日曜日が待ち遠しい」、フランソワ・トリュフォーの晩年の３作品に、隠れた初期の逸品「ピアニストを撃て」。狂おしいほどのラブロマンスに、ヒッチコキアンのサスペンス、それにハリウッドＢ級ノワール映画へのオマージュ。いかにもトリュフォー的で、フィルモグラフィーの中でも、ソフト(レンタルも含めて）やＢＳ媒体であまりお目にかかれない魅惑のプログラム、廉価化となって、やっぱり、これは"買い"の商品である。
で、４作品を観て、最も印象的なのは、やはり「隣の女」。隣に引っ越してきた夫婦の奥さんは、かって熱烈に愛し合った仲、お互い家族がありながら空虚な８年間を埋めるべく情事に耽るふたりだったが、、、。理性ではどうにも抑えきれない感情の昂ぶりと愛欲。狂おしくて、痛切で、破滅的で情動、惑溺な"愛"。「あなたと一緒では苦しすぎる。でも、あなたなしでは生きられない。」とのラストのナレーションが全てを言い表す傑作。
そして、ファニー・アルダン！理知的な中に情熱を秘めた美しさと官能的な唇、そして、ネストール・アルメンドロスのカメラも舐め回すそのしなやかに伸びきった脚線。
家内は、彼女はフランスの天海裕希みたいと言ったが、それは違う。天海裕希が日本のファニー・アルダンなのだ(笑）。
トリュフォーはもちろん、アルダン、ジェラール・ドパルデューにラウル・クタール、ロマン・ポランスキーも登場する特典映像も希少価値、見もの、聴きものだ。