第2番冒頭の和音。一つ一つかみしめる様にズシーン!ズシーンと大地に向けて重力を感じる音がひびく。
その後もスローなテンポで一音もないがしろにしない音楽が続いていく。
ただ、個人的にはこの1,2楽章は、特にもっとほの暗いロシア的ノスタルジーがほしい、と感じる。
技巧は、すごい。完全に鳴らしきっている。終楽章はとてもよく違和感なく感じる。
第2番の終楽章とともに第1番はより成功していると言える内容だ。
ラフマニノフの曲自体がやや内向きとっている第1番でこのアプローチは生きている。深い。
ただ、小澤の指揮は、もっと主張があってもいいのでは、と思うほど禁欲的だと感じた。
協奏曲指揮者の美学を徹頭徹尾守り抜いたのかもしれないが、ラフマニノフではときおりもっと情感を湛える音色がほしい。