愛妻プリシラは一人娘のリサを連れ家出、エルヴィスの精神面がずたずただった時期に発売された同アルバムですが、内容もエルヴィスの私生活をオーバーラップさせる楽曲が多く収録されています。特に故リチャード・ハリスの「マイ・ボーイ」のカバーはとても悲しく聴き手の耳に響きます。エルヴィスファンにとっては文句無しの名盤なのですが、肝心の音質がひどすぎます。音量を大きくすればそれに合わせてノイズも非常に耳障りです。特に「涙で祈る幸せ」はせっかくの名バラードがノイズにより台無しです。2000年発売の「約束の地アップ・グレートVer.」は本アルバムの①と⑥を除いた全曲が収録されていますが、そちらの方がリマスターを施されているためか、ノイズの心配は全くありません（その代わり①⑥が削除されているのが大問題なのですが）。

帯によると国内で独自にリマスターを施したという由が書いてあったのですが、エルヴィスの場合は逆にアメリカ本国でのリマスタリングの方が良いようです。