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さすらう者たち

価格: ¥2,310
カテゴリ: 単行本
ブランド: 河出書房新社
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中国をもっと知りたい方たちにお奨めです。 ★★★★★
中国は色々な意味で眼の離せない国です。
中国の近現代を内側から書いたものを探していて、この本に出会いました。

イー・ユンリーは中国育ちの、アメリカ国籍を持った女性です。「さすらう者たち」は中国人ならではの視点・感覚が新鮮で、小説としての質もとても高いと思います。

あくまでも小説ですからフィクションであり、現実と混同してはいけないのは言うまでもありませんが、中国を理解する上でとても参考になることは間違いありません。

本の状態は新品同然(というか、新品)で非常に満足です。
人間の本質をついた作品 ★★★★★
 中国で反革命分子として処刑された娘を軸に、娘やその両親など含め、関わりのある人々を描いた作品。登場人物すべてが「さすらう者たち」で、みな主人公ともいえる。映画『ハリーの災難』と似たテーマながら、とても重いもので、人間をよく捉えている内容だった。

 物語は1979年3月に起きた処刑の前後が舞台となっている。処刑された娘に起きたことは実際の事件が基になっているらしく、とても残酷だ。だけれど残酷なのは、それだけではなく、生きていること自体も時に残酷だ。ある人物はこう呟く、「良心は、生きていくのにどうしても必要なわけじゃない」と。そして意識したことだけでなく、無意識のうちにも、誰かと関わって生きている。それは死後もそうだ。多数の登場人物ゆえに話がバラバラになりそうなものだが、著者の筆力によって豊かな濃い内容に仕上がっている。

 ある人たちからは忌み嫌われる人も、別の人からは必要とされていたり、中途半端な同情が偽善になったり、良心に苛まれて隠れて行動を起こしたり、善意が悪意になったり、人の考えや行動を一元的には判断できない。処刑された娘にしても、処刑されるまでは無実であったらしいのに、悪魔のように扱われ、死後は、逆に死への抗議運動が起きたりする。この娘の扱われ方には、マイケル・ジャクソンに対する世間やメディアの反応と似たものを感じた。これらが良い悪いで書かれているのではなく、タイトル通り「さすらう」、彷徨っている、不安定な人間の姿が描かれている。