ある時、男はネットを知る、ネットには書き込みという機能があることも知る、男はそこで自身が何者かになれそうな気分を獲得する、あとはお決まりのコースであろう、ネット利用時間は飛躍的に増大する、いずれは自宅からのネット接続では飽き足らなくなろう、ネット・カフェ巡りも日課になる、カフェ内のテーブルの移動さえ頻繁になるかもしれない、さて、それで自分自身は果たして何処に存在するのか?
インターネットは衆知のように軍事目的で開発された、したがって当初より窮極の「機能」が第一目的だったはずなのだが、軍人が職務執行に利用するほどの明確な目的意識を持てない一般にまで開放が進んだ結果、さまざまな混乱が生じていることは否定しようのない事実である、
すでにネットを知ってしまった我々は知らなかった以前にはもう戻れない、本書のようなアプローチがこれから沢山必要にならないことを祈りたいものである、