“カメさん”に、「おかわり」希望。
★★★★★
やぼったいほどの真摯である。
こういうカメ氏を「かっこいい男」だと私は思う。
―――中島みゆき(本書帯より)
自分でもびっくりするくらい元気が出ました。
「人」の力ってすごい。
―――谷山浩子(同上)
ずっと気になっていた本で、ようやく入手して読むことができた。
1969年から『オールナイトニッポン』(以下、ANN)のDJとして一世を風靡した亀渕さん(以下“カメさん”)。彼が、ANNを担当していた当時、リクエストなどの手紙を寄せたリスナーたちを、それらの手紙を手がかりとして探しあて、彼/彼女らの「あの頃」「今」、そして「これから」をきいて行く、というラジオ番組(2006年5月放送)をベースとした一冊。書籍化するにあたって新たに話をきいた人々もおり、また、番組に寄せられたメールや手紙に“カメさん”がコメントを添えて紹介するパートもある。
残念ながらオレは“カメさん”のANNには間に合わなかった世代で、糸居さん以外では鶴光師匠など、「音楽」以上に「笑い」をメインとした人々のANNを中心に聴いていた。けれど、時代は変わっても、やはり“深夜のラジオ”には独特の空気が流れており、そこには聴き手の孤独な心を慰めてくれる何かがある。この本に登場した人々もまた、その「何か」に感応して、手紙という形で“カメさん”に若き心の奥底を打ち明けたのだろう。
ジェントルな語り口で簡潔にまとめられていて、とても読みやすい本だが、読み終わった後、さまざまな想いが去来してしまった。なんだか“カメさん”に「……で、君はどうするの? これから……。」と問いかけられたような、一方で胸の中にさわやかな風が吹き込んで来たような。
もっと長い形で読みたい気もするけれど、それは文庫化の際にでも「おかわり」というか、増補加筆された上で登場してくれたらうれしいな、とオレは思っている。