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大江戸の姫さま (角川選書)

価格: ¥1,512
カテゴリ: 単行本
ブランド: 角川書店
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ほんとうは大名界の外交官だった、大江戸のお姫さまたち ★★☆☆☆
これと言って新しい視点でもなし、新発見資料の紹介ってのでもなし、前々から種々の書籍で触れられてきたところを拾い集めて一冊にしたってところか。
全部なんかで読んだ覚えのある種ばかりで、それにしても詰まらないね。
読後の感想ってのが何にも出てこないんだな。とくに一節毎の記述は悪くないと思うんだけれど、全体を通す背筋が弱いってのかなぁ。何なんだろう、この読後感の希薄さ。
歴史初心者向けの「啓蒙書」って位置づけても、とくに興味を引き寄せるような面白い内容になっていないし、歴史的に「お姫さま」たちへの誤解を解くっていう代物でもない。
思うに、ほんとうは著者ご当人が、このテーマに、あまり関心を持ってないのと違うんじゃないか? 
なにか、有り合せの材料でチャカチャカって仕上げたような手軽さを、すごく感じるな。
追伸.)→→→『明治のお嬢さま』黒岩比佐子著。
隠された姫さまライフ ★★★★☆
江戸時代の「姫さま」といえば、確かに思いつくのは「大奥」ばかり。しかし、江戸時代には大奥以外にもたくさんの姫さまがいて、娘として、姉妹として、妻として、母として生きていたはずである。彼女たちが日々どのように暮らしていたのかは、ほとんど知られていないのではないか。本書は、姫さまのペットや娯楽、婚姻などのエピソードを通じて、大江戸姫さまライフの一端を明かしている。
本書によると、端的には、姫さまは暇だったらしい。武家社会での彼女たちの最大の役割は、誰かの娘として(養子でも可)、誰かと結婚することであり、「その家にいる」という存在そのものだけが必要とされるのである。高貴な身分であればもちろん家事などする必要はなく、かといって自由な外出もままならない。時代が下ると、「夫唱婦随」的な倫理観の象徴たることを押し付けられ、自分の意志や個性などは完全に黙殺されて明治を迎えたのである。
本書は、「姫さま」たちの声なき声を史料から洗い出し、隠された悲哀を示している。軽く読めるので、お時間のない向きにもお勧めできる。
姫が一番 ★★★★★
武家社会に夫より格の高い妻がいたことは、名高い政略結婚の例で明らかです。利根姫御守殿の絵図を見れば、夫より格は上です。竹姫、利根姫両御守殿が並ぶ『武鑑』は圧巻です。『江戸鑑』にある鶴姫も千代姫も、みなさん「御簾中」だったんですね。ちなみに著者は「明治の近代化が女性蔑視につながり、江戸時代の姫は忘れ去られたという結論」は出していないように私には思えます。
エピソード集として読むならおもしろい ★★★☆☆
いわゆる江戸時代の将軍・大名の姫+将軍・大名正室となった公家の姫を様々な角度で取り上げた本です。
「狆」と高級武家女性の関係、疲弊した大名社会に更に贅沢と将軍の威光を蔓延させる戦略兵器として送り込まれた将軍の娘など、今までの歴史や大奥本では余り触れられなかった「お姫様」の話を取り上げたところは興味深いです。
ただし、著者の関口氏は元々ジェンダー論専門で歴史専門の学者ではないため、終章でいきなり「明治の近代化が女性蔑視につながり、江戸時代の姫は忘れ去られた」という結論に無理矢理すべての話を集約しているのが、あまりにも唐突で読後感を不明瞭な物にさせています。史料の解釈でも、怪しげな物でも自分の持論に都合のいい物は無批評で取り上げる一方、勝海舟など同時代人の証言でありながら持論に都合の悪い物は無理矢理理由づけて切り捨てている印象を受けました。また、ジェンダー論専門の学者の割には江戸時代の大名には意外に離婚が多かったことを取り上げてないのが片手落ちかと感じました。
但し、著者の意向で白黒ではありますが多数参考画像を入れている点は評価できます。
著者の結論抜きで、エピソードだけを参考にするなら興味深い本です。
お江戸ブームのプリンセス考−姫様も楽じゃない ★★★★★
 面白い! とにかく副題が「ペットからお輿入れ」まで。江戸時代のお輿入れというと、かの有名な「和宮様」しか思い出せないのだが、実際は武家にしろ公家にしろ、たくさんのお姫様が存在していたはずなのに、歴史の表舞台に出てくることは殆どない。私達が知っている江戸時代の女性は、「大奥」のエピソードに関するものぐらいである。
 その乏しい知識を補って余りある、この本の姫様のエピソードの数々(老いても姫様、夫より身分の高い格上の姫様、降嫁の道具としての姫様等)。ペットのチンのお墓から剥製、御輿入れ行列の解説や、とにかく写真と資料が豊富で、見ているだけでも楽しめる。
 しかし、もっとも注目すべきは、何故姫様の実態が21世紀まで明らかにする動きが無かったかであろう。歴史は巧妙に隠蔽され、捏造されるのである。固有名詞は剥奪され、江戸から近代日本への価値の転換が、女性の生き方をある方向へと固定してしまうのだ。
 堅苦しいジェンダー論ではないが、最終的には読者が隠された枠組みに気付かざるを得ない、しなやかな結びの部分まで、味わって読んでもらいたい1冊である。