美しい昭和の青春
★★★★★
森内閣で環境庁長官、小泉内閣で環境大臣と外務大臣を歴任した著者だが、民間から入閣する以前は、一般的な知名度は決して高くなかったと思う。私もニュースではじめて知った名前だった。
東大卒業後、通産官僚からサントリーの重役を経ての入閣だそうだが、この本は、著者が世間に知られる以前、つまり入閣前の事柄に多くのページが割かれている。それは、たしかにエリートの人生ではあるにせよ、ひとりの女性のなかなか美しい青春の物語である。とくに、まだ日本が貧しかった1950年代に、高校生であった著者がアメリカにホームステイして過したくだりは読み応えがある。
本の後半に政界入りしてからのことや、今後に向けての政策提言などが書かれているのだが、大臣として何をどうしようとしたか、あるいは政治家として今後何に取り組みたいかといった志向の原点が、官僚時代を含めた彼女の青春時代、つまり本の前半に書かれたことにあるということがわかる。
いわゆる政治家本を期待する向きにはアテがはずれると思うが、戦後の昭和の青春のひとつのかたちとして味読する価値はあると思う。
装丁が美しいこともつけ加えておく。
日本には女性エリートが必要だ
★★★★★
夏休みにこの本を読んだ。川口順子さんに対しては外務大臣当時から意志の強い女性として尊敬していた。この本を読んであらためて妻として、母として苦労を外には出さずに、男社会を生き抜いてきた、女性のたくましさを感じた。緒方貞子さん、川口さんに続いて続々女性のエリ−トが活躍するようになれば、この日本社会も活気が取り戻せると思った。
素晴らしすぎて・・・
★★★☆☆
川口順子氏は、大変才能のある、家庭的にも恵まれた、
そして国内外にキャリアを築いている、どれをとっても
平均以上という人です。ご本人は自らを「凡人」と称していても、
とても凡人とは思えません。若い女性の未来への提言、という意図で
書かれた本ということですが、こんなに素晴らしすぎる人の人生から
参考になることはあるのでしょうか。間違いなく「凡人」の私は、
少々ひがみを感じました。
とはいえ「チャンスは前髪でつかまないとダメ」「挑戦して
後悔したほうがいいんじゃない?」という考えは賛成。少子化対策に
関する氏の考え「働き方を変えなければ」も、確かにそのとおりです。
実際に「仕事と子育て」の喜びでいっぱいという女性(男性も)が
増えるように、国会での川口氏の活躍を期待したいです。