今回初期5枚が3CDで発売され改めて彼らを通して聴くと、この1stは曲順にやはり問題があったと言わざるを得ない。

私は実の所トロワーのギターよりデューワーの声に魅了され彼らを聴き続けているのだが、冒頭3曲がスローと言うのも如何なものか?3曲とも曲自体は素晴らしいのだが(HANNAHなどは似た曲調のトロワーの代表曲BRIDGE OF SIGHSより好き)中盤は乗りの良い曲ばかりだし、後半は正直曲が弱い。しかし全体としては処女作にしてバンドのアイデンティティが確立されている。やはり頭にI CAN'T STAND IT 辺りのスピードチューンを持ってくるべきだったと思う。
尤も、代表作である2ndでその問題点は解消され大成功を納めるのだが…

名曲「青い影」でお馴染みのプルコルハルムのギタリスト、ロビン・トロワーがグループ脱退後にリリースした初ソロ。1973年の作品です。アートロック志向のグループとジミヘンを理想としたブルースオリエンティッド志向のロビン・トロワーとではまさに根本的に水と油の関係でした。この初ソロアルバムで本当に自分がやりたかった音楽を自由奔放に表現しているトロワーは、水を得た魚のように生き生きと躍動しています。

ジミヘンばりの強烈なソロが炸裂の「I Can't Wait Much Longer」、幽玄な憂いを込めた泣きのフレーズが印象的な「Daydream」、壮大な「Hannah」、トロワーのダミ声とデュアーのハイトーンボイスとの対比が見事な「Twice Removed From Yesterday」、桃源郷をさまようような「Ballerina」と名曲がズラリ。

ロビン・トロワーをしてジミヘンフォロワーと評する人がいます。もちろん受けた影響力は果てしなく大きなものがありますが、曲の随所にはロビン・トロワー独自の解釈が散りばめられていることに気がつくはずです。そして難しい理屈よりも何よりも、胸を躍らせるような格好いいロックギターがあふれているのです。