従来の量子光学の教科書と言えば国内外問わず、大半が理論家によって書かれたもので、
計算等の記述が難しく、初学者には量子光学の面白さを分かる前に、挫折してしまうかも知れない。
しかし、この本は実験家によって書かれてあり、コヒーレント状態、スクイーズド状態、量子エンタングルなどの基礎概念が分かりやすく整理されている。
また、実験との対応も詳しく書かれており、そういった概念がなぜ重要になるかも理解しやすい。
計算も実に丁寧で、レベル的にもブラ・ケット表示の量子力学の知識があれば、読めるので、初めて学ぶ人が量子光学を知るにはこの上ないだろう。

そして、現在、量子光学の応用として話題であり、著者が世界をリードしている分野でもある量子情報に関してもページを割いてあるのは非常にありがたい。
これに関しても、分かりやすい言葉を用いて解説しているためよく読めば理解できるだろう。

また、これだけ最先端で専門的な内容をも含んでいるにも関わらず安いのもありがたいところである。