モスラ3 キングギドラ来襲 [DVD]
価格: ¥4,725
平成モスラ・シリーズ三部作完結編。監督には第一作の米田興弘が復帰。製作富山省吾、脚本末谷真澄は3作通しての布陣。また前2作で川北紘一の助監督を務めた鈴木健二が、本作で特技監督(クレジット上は「特殊技術」と表記)デヴューを果たした。
恐怖の大魔王・キングギドラが日本に襲来。モスラと共に対抗するモルとロラのエリアスだが、その強大な力には歯が立たない。ロラは白亜紀に出現したキングギドラを倒すことで、現在のギドラを葬り去ろうと考えモスラをタイムワープさせるが、力を使い果たして死んでしまう…。
ファンタジー映画として製作されてきた平成モスラ・シリーズだが、この第3作はモスラVSキングギドラの怪獣対決を呼び物としており、1作目では禁則としていた都市破壊シーンがふんだんに登場。シリーズの軌道修正が打ち出された作品となった。鈴木健二の特技演出は、デジタル合成をも積極的に採用し、されど「モスラ2」のクライマックスのように全編をCGに依存することなく、適材適所の演出効果を上げている。また三部作を通しての語り部である、エリアス3姉妹のストーリーの根幹部分におけるポジションがはっきりと描かれた。前2作ではロラ、モルと敵対しコメディ・リリーフ的な役割であったベルベラが実は重要な鍵を握っているあたりの展開は、羽野晶紀の好演と共にポジティヴな印象を残す。
ふたつの平成ゴジラ・シリーズの間に製作・公開された「モスラ」3部作だが、ファンタジー映画としての位置づけは作品を重ねることに変更を迫られたが、米田興弘、三好邦夫、鈴木健二、末谷真澄といった面々にその手腕を発揮する場を与え、特撮映像における新しい世代の才能を世に出したという意味では、大きな貢献を果たしている。(斉藤守彦)