島原の乱の真実
★★★☆☆
初出は1980年の『週刊朝日』。
島原の乱の真実を解き明かすのが本書の主題。切支丹の乱ではなく、領主の圧政が問題だったというのが司馬氏の主張。あまりの搾取が農民を反乱に走らせたのだという。
実際に島原・天草を歩き、痩せた土地、火山災害との戦いを目にした司馬氏の主張には説得力がある。激しい怒りが伝わってくる。
被抑圧者の問題を掘り返し続けた司馬氏らしい一冊。しかし、本書はいまいち乗り切れていない印象。おそらく、島原の乱には、中心に据えるべきキャラクターがいないからだろう。そのため焦点が定まらず、いまいちな仕上がりとなっている。