カネミ油症患者トヨコのライフヒストリー
★★★★★
この本は、カネミ油症患者―人類史上最悪のダイオキシン中毒―であるトヨコに出会った著者が語るトヨコの人生である。著者は医者であり、カネミ油症の原因物質がPCB(ポリ塩化ビフェニール)ではなく、PCDF(ダイベンゾフラン)というダイオキシンに匹敵するくらい毒性が強い物質であることを発見した人物である。著者がその原因を発見してから30年後、カネミ油症患者であり運動家であるトヨコに出会い、その半生に惹かれる。この本は、そんな著者がトヨコやその夫らに話を聞いて、彼女の半生を書き綴ったものだ。読み進めると著者が、カネミ油症患者のトヨコだからではなく、トヨコの生き方そのものに惹かれている様子が伺えるだろう。
カネミ油症―薬害―は過去のことではない。なぜなら、カネミ油症で生まれたこどもが大人になり、結婚し、その子どもが「コーラベイビー」として生まれている。カネミ油症の特徴である黒い赤ちゃんが生まれているのだ。ダイオキシンの影響は次世代へ影響を与えているのだ。