著者と読者、末端の2者がしっかりしよう! したたかにやろうぜ
★★★★☆
ハワイ、ハレクラニのプールサイドで、のんびりキンドルで読書しているアメリカ人(多分)を3人ほど見かけました。
いつも黒船は海の向こうから、外圧に負けて変化を余儀なくされ、あたふたと慌てている。こういうパターンを我が日本民族は半永久的に繰り返していくのでしょうか。せっかくの技術を持ちながら、残念です。
読者としては、やはりコストが一番気がかりです。紙の本と大きな格差を生んではならないとばかり、そこそこの値段に落ち着いて、浮いた利益は、出版社・コンテンツ加工業者・eBOOKストアで仲良く山分け、なんてところに落ち着かないように、皆で見張っていましょう。
業界の人たちは皆、それこそ銭金(ぜにかね)の問題でどういうビジネスモデルを築いて行くか、そればっかり。読者にとってもっとも快適な読書を実現する(目に優しい端末。簡単なeBOOKの購入方法等)というスタンスでものを考えてる人なんかいるのかね。
だいたい何やってるのかわかんない高給取りが増えてくる業界って、末期の証拠。大手出版社の編集者は自主独立して、作家と個人契約を結び、厳しいビジネス環境に身をおいたらいかがでしょう。
わかりやすい電子書籍解説本(でも風化も早いかも?)
★★★★☆
巷にiPadの話題が絶えない今日この頃、「それっていったい何ができるの?」と思っている私のような人にお勧めな一冊。
Amazon.comとソニーとアップルを横断的に見ながら、ebookの現在、過去、未来を、地理的には米国と日本と欧州を比較しながら語っています。
ソニーが過去に日本で電子書籍で失敗していることや、それにまつわる日本の独特の著作権のあり方など、知らなかったことがいっぱいです。
また、最近、コミックも雑誌がネット上だけのもので、単行本で初めて紙印刷になったのがよくあるなあ、と思っていた、そのカラクリも、わかって「なるほど!」という感じ。
著者の視線だと、キンドルを買うようなebookリーダー層は読書家で知的好奇心の強い人たちだ。
この本を読むと、私も、その片隅に席を求めたくなってしまった。そのうちキンドルを買うでしょう。
「銀河ヒッチハイクガイド」の話が出たのは嬉し懐かしかったです。
早く欲しい!
★★★★☆
eBookに興味があり、本書を読んでみました。eBookで話題の2社のA社のことだけでなく、国内メーカーのことも書いてあり、初心者の私が読んでみても楽しめました。特に、各社製品の誕生の経緯や強み・弱みが記載されている箇所が興味深かったです。本書は写真やデータの引用の仕方もうまく、非常に分かりやすかったです。この本を読んでみて、ますます早くeBookを手にしてみたくなりました。日本での今後の展開が楽しみです!
まず最初に読むべき一冊。
★★★★★
佐々木俊尚さんの『電子書籍の衝撃』が、頭のなかで書かれたものだとすると、
この本は、いろいろな調査やインタビューなど、体をつかって書かれた本、
という感じ。
他の人のレビューにもあるように、iPad やキンドルの話だけでなく、
ソニーリーダーにも、ずいぶんと紙面は割かれている。
また、単に、新聞、雑誌、単行本といったものだけでなく、
マンガやアダルト系にも触れていたり、
機器についても、マイナーな電子ブックリーダーや、電子辞書、任天堂DS
にまで目配りをしていて、非常に視野の広い本。
あと、多くの人が気になるであろう、
「紙の本はなくなるのか」という問いに対しては、著者は、
「短期的には単なる杞憂であり、長期的には避けがたい動き」と
とらえている。
グーグルブックスの何が問題の本質なのか、という議論や
日本の国会図書館館長の長尾さんの話なども紹介されていて、
非常に興味深い一冊。
電子書籍の最新潮流を知るには最適(2010年現在)
★★★★☆
2010年、iPadが発売されたときの新聞・雑誌等の騒ぎ方は、大新聞までもが軒並み連載特集を組む等、一般人の感覚からするとやや”そこまで?”という感があるほどの騒ぎであったように思う。
本書はiPadの製品発表後、製品発売に先立つ時期に出版された。冒頭にiPadの製品発表時の場面を持ってくるなどiPadを中心に書かれているような装いを施されてはいるものの、著者のテーマはiPadそのものではなく、iPadが投入される電子書籍の分野での動向にある。
iPad、先発にあたるキンドル、さらにいったんビジネスを展開するが撤収、再度の展開に挑戦しているソニーの電子ブックの三者が主対象となる。
なぜ電子ブックは一度失敗したのか、キンドルのビジネスモデルの特異性、電子ブックの再挑戦、そしてiPadと米国を中心に進む電子書籍の世界での大潮流を捉え、数字的な裏打ちや関係者への取材、数字的な裏打ちなど丁寧な構成は読み応えがある。
書籍の電子化をめぐるグーグルの動き等も登場しつつ、一方で、米国の動きがそのまま日本には来ないという理由についても丹念に説いていく。
時宜に応じたタイムリーな出版ということからくる、急造作りというイメージをはねのけるだけの内容だ。