読み甲斐がありました
★★★★☆
写真が美しく、また出産現場、現在の妊婦や産婦人科の状況、
裁判のこと、帝王切開のこと、
妊婦、産婦人科、お産に関わるいろいろなことが
明日香医院の医師である大野先生の言葉で
比較的平易に綴られています。
ボリュームもあり、読めるかな?
写真眺めるだけでもいいか、と思いましたが、
読み始めてみたら、面白く、興味深く、
するすると最後まで読むことが出来ました。
現況の厳しさ、自然分娩のよさ、
出産時の神が降りてくるような神秘的なたくさんのこと。
そういったことが、大野先生の言葉で紡がれていて、
私の知らない世界を少し垣間見たようでした。
それまでも、出産というのはなんとなく神秘的で
なんとなく「母になる」「泣ける(ようだ)」というのは
頭では理解していましたが、
この本を読んで、産まれて来る子ども、
産むお母さん、付き添うお父さん、
その瞬間を写す写真がすべてを物語っていて、
なんだか美しい映画か映像を見ているような感じでした。
出産した方も、これからする方も。
女性も、男性も。
なんだかいい本に出会えました。
みなに薦めたい1冊です。
お産をする方には知っておいて欲しい本です。
★★★★★
写真の持つ力を最大限に利用したお産に対する強く
熱いメッセージが込められた一冊です。
医療や他人任せではなく、自然なお産というものに
興味がある方は、妊婦さんに限らず本書を一読する
ことをおすすめします。産科を含めた日本の医療問題や
命に対する考え方、そして何よりも、安産や健康である
ためには、それなりの努力や覚悟が必要という当たり前
のことをきちんと教えてくれます。(医療問題や医師
としての訴えに関する内容も多く、一部に少し硬い
印象も受けました。)
より詳しく「お産」について、少し真面目に学びたい
のであれば、本書に引き続き「分娩台よ、さようなら」
を読まれること強くおすすめします。(でも、まずは
こちら。)
覚悟を決めた上で、お産とは自然な生活の一部であり、
お産をする夫婦自身でまずはしっかりと作り上げていく
ものであることを特に初めてお産をする人には知って
欲しいと思います。(本書を読まれて、余りに力を
入れ過ぎられないことを祈ります。お産って、自然で
素敵なものなのですから。)
命のとうとさ
★★★★★
第2子を、著者・大野先生の明日香医院で産みました。
第1子の時と違い、まさに「いのちをこの世に産み出した」と感じるあたたかなお産でした。
そのお産を思い出しながらこの本のページをめくっていると、こみ上げてくるものがあります。写真も素敵です。
そしてまた、大野先生をはじめ、厳しい立場におかれている産婦人科医の先生方を思い、自然のお産ができる場がどんどん失われていく状況をなんとかしなければいけないと思うのです。
何でも詰めた感じの本
★★★★☆
自然に近いお産を意識して個人医院を開き、日々お産に関わっている医師の本。
出産シーンの写真を載せた絵本的な部分と、現在マスコミでも騒がれているような医療崩壊の問題点について著者が述べた部分が交互に出てくるつくりになっています。
医療崩壊については、マスコミで言われているレベルだけでなく、もっと恒常的な問題や、特に女性医師としての立場で今まで勤務医・開業医としてやってきた身で感じた問題点の指摘がされています。現在の産科医の若い医師には女性が多くなってきているけれど、その女性医師が家族を持ちながら働ける場にはぜんぜんなっておらず、近い将来、自分の妊娠出産子育てで休業する人たちが出ることを考えると、今より産科医不足は深刻化するだろうというところなどはこの本を読むまで知りませんでした。
大野氏が扱ったお産の実例がいくつか細かく載っていて、「こういう自然出産を目指す個人医院で、自分で扱うお産と他の病院に送るお産を決める時の分水嶺はどこなんだろう?」と興味を持って読みましたが、経験に裏打ちされた直感でベストをつくしたり、待つか転送するか判断したり、いやはや予想通り緊張感に迫られることばかりだなと思いました。お産もある程度まで進んでしまうと、他の病院に今更送って帝王切開にしてもらう、とはいかなくなるときがあるということで、そこまで文章で書かれているのは読んでいて興味深かったです。
この本は、モノクロ写真をきれいに載せるために写真集のような紙質になっているのですが、同じ紙で医療を取り巻く問題点についての長い文章も載せているので、結構重い造りです。そこを工夫してもっと軽く仕上げてくれればもっとよかったかなと思います。写真集的な部分と問題点についての文章の部分、本来だったら2冊の別の本になるものでは?と思うようなものを1冊にまとめている感があります。
過去にお産に携わっていた者です
★★★★★
かつて、意欲に燃え、必死でお産に向き合っていた自分を思い出しました。
お産の素晴らしさ、尊さがひしひしと伝わってくる写真と、大野先生のメッセージ。
お産に関する報道に携わる人、これから妊娠・出産をする人とそのパートナー、お産に携わるすべての人に読んでいただきたい。
産科医療の疲弊、最近の医療の現場も、今の私には報道で知るしか術がありませんでした。報道を見聞きして、今の状況をとても悲観的に受け止めていましたが、この本を読み終えた今、希望の光を見た気がします。
こんな先生がいてくれる限り、またいつの日か、私もお産の現場に戻れる日がくるかも、という希望。
私のような、現在助産師の仕事に携わっていない助産師が再び現場に戻りたい、と思えるような、お産の原点を伝えている内容でした。