一冊で分かる知財
★★★★★
日本は技術立国でありながら現行の知財保護制度は
十分に機能しているとは言えない。本書は知財保護
の歴史や各国の状況を踏まえながら幅広い視点から
改革を唱える提言集である。
話題になった青色発光ダイオードやウィニーを巡る
争い、ゲームなどコンテンツ産業など実例も豊富だ
が話の中心は特許庁と知的財産高等裁判所に纏わる
制度改革だ。諸外国やライバル企業と公平な競争を
するためには政府部門の適切な支援が必要なことは
明白だ。日本の知的財産が世界を制するか外国に盗
まれるかは政治家のリーダーシップによる法整備に
掛かっている。
緻密に取材されている
★★★☆☆
「知」という「財産」をめぐる2004年当時の社会背景や問題意識が語られています。青色発光ダイオードによる発明者報酬の問題、漫画喫茶と著作権の問題などのホットな問題のほか、各国の知財政策、法制度の問題など、薄い本でありながらテーマは多岐にわたります。2010年に読むと、当時の問題の多くが未解決であることを痛感させられます。21世紀は、「知」こそ国富の源泉となる時代です。しかし、既得権やら前例主義やら、あるいは、想像力不足やらで、「知」を育てるための方策の多くはまだまだ棚上げ状態です。
いろいろな問題が丁寧に取材されており、読み応えがありました。
情報が古すぎた
★★☆☆☆
買う前に気づけばよかったのですが、2004年の初版から情報がアップデートされておらず、中の話が古いです。
出版された当時は知財政策も緒についたばかりで、この本が果たした役割は大きかったのかもしれませんが、
課題として挙げられている話の状況も変わっており、知らずに読むと知財の今を見誤ります。
読み物にも勉強用にもよい
★★★★☆
「マンガ喫茶は著作権料を払わなくてはならないのか?」「では,ラーメン屋にある雑誌はどうなんだ」というような身近な話題から日本人研究者がFBIに捕まった遺伝子スパイ事件まで,特許に限らず,知的財産一般に関わる様々な事件を取り上げ,知的財産を取り巻く現状と今後について解説しています.
遺伝子スパイ事件などは詳しく取材されており,他人事ではないかもしれないという何とも言えない読後感でした.その他に諸外国の知的財産に対する考え方や,日本の政財界の動きなどが書かれており,知的財産を勉強する上で参考になるでしょう.前半は読み物としても楽しめます.
冷静に知財保護をめぐる現状を明らかにする良書
★★★★☆
本書は、膨大かつ詳細な取材に基づき、国内外の知的財産(権)をめぐる様々な紛争を冷静かつ客観的に紹介・分析している。そのため、読み物としてはやや面白みを欠くが、逆に日本の知財保護政策の不備に対する著者の抱く危機感がよく伝わってくる。
世界規模で経済社会における知財保護の重要性が増しているにもかかわらず、わが国では政治・経済・司法等の既得権益維持のための対立がそれを妨げていることが、淡々と、しかし説得力を持って浮き彫りにされている。
もう少しつっこんだ提言があってもよかったとは思うが、知財ビジネスに携わる人や知財に多少なりとも関心のある人には、現状把握のためにもぜひ読んでもらいたい一冊である。