作れるが売れる場がかぎられた電子書籍
★★☆☆☆
前半 2/3 くらいが対談,後半は電子書籍に関する紙の書籍の紹介や電子書籍の読みかたや書きかたにあてられている. 内容はそれほど濃いわけではないが,電子書籍を対面販売するという 「電子書籍フリマ」 について書かれているところに特徴がある.
日本ではとくに,まだ電子書籍の流通がよわい. 対面販売もおもしろいが,フリマにいけなかったひとが見れる,買えるしかけがないと,この本を読んでもよくわからない.
電子書籍とは云わない「電書」の概念の書:作り方とは無縁
★★☆☆☆
本年(H22)の夏(7月)と秋(9月)に企画した(ている)「電書フェア」的な催しを,非「電書」型である従来版の書籍の手段を用いて普及/浸透をはかろうとする「宣伝/啓蒙書」の意味合いが6割以上を占めている.
少なくとも,「電書」とは「電子書籍」ではないと著者は主張している.著者の独特の概念である.
本の中身は,「米光ラジオ」「知人との会話」等の「テープ起こし」が中心.加えて,著者の知識の広さが随処に「脚注」に現れるが,重複も目立つ.
『「電書」ならその頒布価が「100円」であるところ,紙の本だと「1000円」を超えるという実験の書でもある』と考えるのは,深読みか?.
著者の考えは,面白い.それよりも,「55冊の書評/紹介」の方が面白い.
作り方の本ではないです
★★★☆☆
私は基本的に、電子書籍を楽しみたい人間ですし、
著者の方に悪意も持っておりません。むしろ好意的だと思っています。
が、
この本は、実際電子書籍を作ろうと思って買うと、期待はずれになるでしょう。
電子書籍の作り方は一番後ろに数ページついているだけです。
誰でもつくれるのかもしれませんが、この本ではつくれません。
そういう技術的な本ではないです。
おそらく、そういうつもりで作られた本でもないと思います。
ですから、詳しい作り方が載っていないと不満を持つのはお門違いなのかもしれません。
しかし、ねぇ。
この本は、電子書籍を作るまでのライトなドキュメンタリーというか、
心の持っていきかたということなのでしょうか。
それであっても、(別の方が書いておられましたが)ただの内輪でのおしゃべりという印象です。
これを一般の書籍(紙の本として)出したらダメだろう。
電子書籍が「所詮」と思われてしまうのではないでしょうか。
と思ったのですが、
電子書籍ならいいの?
「所詮」と思われたらいけないの?
そのへんがまだ、電子書籍について私が判断しにくい点です。
電書フリマで、100円で販売されているならば、
素晴らしい本だと絶賛されるかもしれない作り。
そういう意味では電子書籍的な本だと思います。
「電子書籍」ではなく「電書」の可能性を語り、ニュータイプへの覚醒を促す本です、たぶん
★★★★☆
米光さんやうめさんの活動に以前から興味があり、どういった経緯でこの本が生まれたかを大まかに知っている者です。
なんでこんな事を書いたかと言うと、このへんの情報を知らずにタイトルを鵜呑みにして購入すると、確かに期待した内容とのギャップに困惑、失望するだろうな…と感じたからです。
各章の構成ですが、
#1いまなぜ「電書」か
#5電子書籍部と電書のこれから
→米光さんのSkypeチャット語り下ろし
#2文学フリマ直前SPECIAL
#4文学フリマ報告
→Ustreamチャンネル「米光ラジオ」で放送された内容をテキスト化
#6未来のテキスト 電子書籍に関する55冊
→同名の電書に掲載した57本のレビューから20本を抜粋
といった感じで、要は今までの活動や発言を1冊にまとめた本なんです。
また、ノウハウ本や実用書と言うよりは、
“「電子書籍」なんて古くて狭い考えに縛られず「電書」の可能性に気づいてニュータイプになろうぜ!”
という覚醒を促す本だと私は感じました。
そういう意味でも「タイトルと違うじゃん!」と思ってしまう人もいるだろうな…と思いました。
電子書籍に関する55冊(実際は抜粋した20冊)の一冊目がレイ・ブラッドベリ『華氏451度』なのにはズッコケましたw
いや、ズッコケて笑った後「ああ、こういう本か」(決してビジネス書や表面的なノウハウ本ではない)とわかって、むしろ好意を持ちました。
本書だけ見ると正直★3かな…と思いますが、本書を含めた活動全体は応援したいので、1つおまけして★4にしますw(ナマイキ言ってすみません)
自己表現に関心のある人がいま読むべき一冊
★★★★☆
著者の米光一成氏は「電書」という新しい概念を提唱したひとである。
「電書の「書」は「書籍」の略じゃない。新しい表現の器になれる。略称じゃなくて、電書」
という言葉が的確に本書の性格をあらわしている。
「電書」は書籍やコンテンツビジネスといったしがらみから離れ、いままでの「書籍」という概念を解体してしまうすごい考え方だ。実践を通じて、いまもどんどん可能性が広がっている。
なので、本書は「誰でも作れる電子書籍」というタイトルがついているが、ノウハウ本ではなく、「電書」のコンセプトノートである。
自分も電子書籍を書いて一発当てたいなんて思っている人には面白くもなんともないかもしれないが、自分を表現したいと思っている人にはとても刺激的な論考だ。なにしろ現在進行中なので、「自分もこの運動体に加わっていけるかも」というわくわく感に満ちている。
本書には「電書」が開発、実践されていく過程で、Ustremで交わされた関係者との対話が多数収録されている。具体的には2章から5章あたり。現場のライブ感がひしひしと伝わってくる。
残念なのは、8章の「電子書籍を作ろう」。まだ電書の制作システムが確定していないので、一般的な電子書籍の話になってしまっている。ここが「電書を作ろう」になったとき、この本は完成するのだと思う。