改善は望むべくもなく
★★★☆☆
前版のレヴューで皆さん言われていることに大筋で同意見です。
今版でもそれらの不満点は基本的に変わるところはありません。
純粋な判例集としては、『憲法判例』(戸松・初宿)の方がよいと思います。
よく「百選の解説は玉石混交」と言われます。
民法や刑事訴訟法、行政法などは参考にしやすいものも多いので
一概にそうとは言えませんが、憲法判例百選はそうかもしれません。
ただ、有力な先生の解説は有用なので、人を選んで読む必要があるでしょう。
判例自体にも、載せないでほしい細かい判例や、
他の法分野と重複する判例があり、全体として数が多すぎると思います。
“百選”なのだから各100件にしてほしいです。
“これが常識”というのも、一部の人たちが勝手に言い出したこと。
昭和20〜30年の古い判例を中心にアペンディックスに収めるなどして、
100件に絞ってほしいです。民法などはそうやって絞ることによって、
選別および質に一種の緊張感をもたせているようです。
学生の入門にはぴったりかと
★★★★★
自分は早稲田の学生で、法学を主に学んでる者です。
教授に勧められ買いましたが、非常に良いと思いますよ。
ただ、少し難しいです。しかし多くを学ぼうとするならこれで良いのではないでしょうか。
ロースクール生にとっては解説が不十分かも
★★★☆☆
司法試験において判例の理解は必要不可欠であり、そんな判例集の中で
トップシェアを誇るのがこの判例百選である。新版になって最近の重要
判例も追加された。司法試験を受けるのなら、ここに載ってる判例の事案
判旨を覚えこむことはもはや常識といえる。そしてこの版で文章が横書き
になり多少読みやすくなった。
しかし、この判例集はパーフェクトなのかというとそうでもない。前々から
言われてたことであるが、著者によって判例解説の質に差がありすぎるので
ある。さらに悪いことに幾つかの判例は、前の版に比べて解説の質が劣化して
いるものもある。
また、ロースクール生は判例の深い理解が求められると思うが、ここに載ってる
解説だけではロー内での議論についていけないと感じた。ロー生は法学教室の
憲法判例を読み直すだとかそういうのを読んだ方がいいと思う。
まとめると、この本はここに載ってる判例は常識にする、という観点で使うのなら
よいが、これだけで合格レベルまでいけるかとなると少し怪しい、ということに
なる。判例によっては重要な事案が省略されているのもマイナス点。もっと事案や
判旨や補足意見、反対意見が多く載ってるのが読みたいなら、別の判例集を買うこと
をお勧めする。