近鉄特急(急行)黎明期とビスタカー
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2巻に分けただけあって、非常にボリュームが濃いです。
なんと言っても「ビスタカー(1世、2世)」でしょう。カラー写真も多く詳しく記載されています
でもその前の特急(伊勢中川乗り換え)の車両や京都線の特急の写真があり、幼い頃(すぐに廃車)を思い出しました。
ビスタカーがすべてじゃないですし、あのリクライニングシートのスナックカーも詳しく記載されています。
ただ、同人誌にあったのですが近鉄特急女性乗務員、あのおしぼりサービス等の記載がほとんど無いのが残念ですが・・・おしぼりサービスは幼い頃驚いたのですが・・
それでも、記載量は多く、三重交通神都線(内宮までの路面電車)や参宮関係の記載もあり懐かしいのではないでしょうか?
(地下線前の奈良駅付近の路面をミニスナックカーが走るのは非常に新鮮です。できればあのまま古都奈良を走って欲しかったのですが・・)
スナックカー等今走っている車両が少ないので、今の近鉄特急とは趣が違いますが、やはりまとめて購入するのをお勧めします。
路線から車両まで内容盛り沢山
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この「近鉄特急」は上下巻に分かれており、下巻で現在の近鉄特急の概要などが記されるのに対して、上巻ではまず近鉄の路線網の成立過程を描き、そしてそれらの路線で戦後(一部は戦前から)運行されるようになった特急電車に対して、どのような車両が投入されたのか、どういう変遷を遂げたのかということが、写真など豊富な資料を基にして1976年時点までかかれています。
まず、2200系や10100系「ビスタカーII」など、車両に関する解説がものすごく豊富です。よくもここまで系列ごと、丁寧に調べたものだと感心しました。
さらに、特急成立の背景となった広大な路線網の形成史や、近鉄に戦後買収された奈良電の特急電車についての記述、並行競合関係にあった国鉄の優等列車に関する記述など、様々な面から「近鉄における特急」を分析してあり、特急のみならず、近鉄そのものを研究するのに大いに参考となる本のように感じました。
総延長日本一の民営鉄道ということもあり、「鉄道網」のみならず「特急網」を形成している点で、近鉄には個人的に強い興味を抱いていますが、この本はその考えをいっそう推し進めてくれました。
詳しい、楽しい、面白い
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下巻も含めて購入した。
近鉄特急の誕生から発展の経緯を近鉄の創業からの歴史と絡めて楽しく面白く読ませてい
ただいた。なによりも詳しい、これにつきる。近鉄の前身大阪電気軌道の創業時の経営不
振や生駒宝山寺にお金を借りにいったというエピソード、経営危機を脱した後の参宮急行
の設立と伊勢進出。高速鉄道を目指し、お伊勢参りを便利にしたいという理想と言うか思
想。素晴らしい物と感じた。私はこの本を読むまで関西私鉄といえば阪急しか知らなかっ
たが、阪急よりも近鉄のほうが思想的に素晴らしいのではないかと感じた。
そして昭和初期の大不況により、参拝客の減少により、建設費の償還に苦しみ、大軌・参
急は2度目の経営危機に見舞われ、人員整理やコスト削減をしたが、私はそれまで別の本
で大軌・参急は国の政策に沿って伊勢への線路を延ばしたと書いてあったので、補助かな
にかを受けて大軌・参急はウハウハと思ってい
たが、どうも違っていたようである。
また名古屋線の前身伊勢電、京都線の前身、奈良電、南大阪線の前身、大阪鉄道など被合
併私鉄の歴史も詳しく楽しく読めた。
しかし目次裏側の路線図で近鉄南大阪線の上り方面が阿部野橋というのにはびっくりした
。また名古屋線の上り方面が伊勢中川というのにもびっくりした。私は別の本で私鉄でも
鉄道は東京に近いほうを上りにすると書いてあったのでそれを信じていたら、そうでは無
いようである。
わかりすい記述、豊富な写真で、近鉄特急70年の歴史を理解
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近鉄特急は電車ファンの憧れだ。他社をリードする特急車両や最新の運行システム、ドラマチックな歴史など、興味の対象は際限なく広がる。しかし、奥が深い分、なかなか気軽に全貌を理解する書物がなかった。そんなとき、手にしたのが田淵仁氏の「近鉄特急」だ。戦前の名車2200系の特急から始まって、最近の特急ネットワークの完成まで、わかりやすい記述と、豊富な写真で、近鉄特急史をよく理解することが出来た。なかでも、著者は単に現象面だけを拾うのではなく、近鉄の陰の努力にまでスポットを当て(例えば特急車両は突然出来たのではなく、一般車両で地道な実験が繰り返されていた)、しっかりと書き起こしている。著者の鋭い視点と豊富な知識には敬服するものである。戦前や終戦直後の貴重な写真もよく集めたものと感心する。第一級の近鉄特急史としてお薦めしたい。下巻の発行も楽しみだ。