恐ろしく難しい本
★★★☆☆
恐ろしく難しいです。
最々低でも
・スキームに基づく代数幾何の基本(Hartshorne程度)
・楕円曲線の基礎(Sil1あたり)
・C上のモジュラー曲線の理論(志村本くらい?あれも難しいが・・・)
・コホモロジーによる類体論(Artin-Tateでもノイケルヒでも)
などの基礎知識が必要です。
それに、本書で引用している定理に、フェルマーほどではないに
せよ、かなりエグイ定理(モーデル予想とか、メイザーの楕円曲線
の有理点の話とか)を引用しているので、そこもフォローすると
なると、要するに現在の数論幾何の基礎理論はすべてマスターして
おく必要があります。
昔とある学会で、知り合いと「全世界で、あの本を読んで理解でき
る人は全員今ここのいるのでは」「そうだとは思うが、あれを理解でき
る人間はそもそもあの本を読まずに、原論文を読むでしょ」などと話を
したことがありました。
まあ、「フェルマーの最終定理」なる数学史上最も有名な問題の証明が
記載されている本として、家に飾っておくにはよいのでは。あるいは、
この本を眺めて、見果てぬ広大で壮大な理論に想いをはせるか(いつか
読めるようになってやる、とね)。
少し毒、というかとげのある言い方をすると、この本に関わる方々の
「自己満足」ではないかな、といえます(筆者の、ではありません)。