萌え本と侮ってはいけない。
★★★★☆
WWIIにおける各国戦車部隊の運用法・編制・軍事教義について
一冊でコンパクトにまとめ、解説した良著。
戦車のハードウェアやメカニズムを事細かに解説した本は少なくありませんが、
個々の戦車が束ねられて戦車部隊となった時、どのように運用されるのか?
運用方法の違いによって、編制がどのように変わってくるのか?
また、そうした編制が生まれる背景となった軍事教義とはどのようなものか?
ということに光を当てた書籍には、あまりお目にかかることができません。
(パンツァータクティク等の良著もありますが、
非常に高価&扱っている範囲が狭い&取っ付きが悪すぎるので、
初心者にはお勧めできません…)
そういう意味では、前作と比較して、より価値が高く貴重な本だと言えます。
萌えを題材にしているからと言って低く見るのはいただけません。
逆説的に言うと、敢えて「萌え」本にしなくても良かったような気もしますが…。
若干食い足りないところがある気もしますが、
本の厚さを考えれば、非常によくまとめられていると思います。
足りない部分は、別な書籍を見て勉強していけば良いでしょう。
ただ、一つ不満があるとすれば、参考文献の記載が無いことでしょうか。
ミリタリに興味を持った読者が、自分なりに学習をしていこうと思ったときに、
参考文献や、お勧めの本について紹介があれば、
より一層読者の楽しみが増えたことと思います。
素人が読む戦車の本
★★★★☆
漫画とイラストを中心に戦車に関する知識と戦術に関して解説した本。
初心者向けにわかりやすく解説してあり、その手の本では間違いなくお勧め。
あくまでも雑学知識の延長線上としての戦車本で、
戦車と戦術を萌えと笑いで読んでいこう、という軽いノリの本。
軍事関連の本にあるようなリアリズムとしての知識、
写真やイラストから、鉄や油や土の匂いがしそうな「男臭さ」はありません。
また戦争がいかに悲惨か?現実の戦争とはどういうものか?も扱っていません。
現実の戦争の悲惨さや戦車の世界について知りたい方はそういう本をどうぞ。
そのようなものをこの本に求めるのはナンセンス。
向かっている方向性が違います。
その辺をきちんと理解してから購入しましょう。
飽きさせない入門書
★★★★☆
軍事関係の書籍というと、専門用語だらけの文章とモノクロの写真ばかりで、とかく初心者には取っ付きにくい物が多いですが、この本は違います。
知らない人に説明するのが面倒な戦車の運用方法や戦術を、マンガやイラスト解説で解りやすく、かつ、飽きさせずに理解させてくれます。
よく出来た入門書なので、これから戦車を知りたいという初心者の方には、あまり「萌え」という言葉にこだわらずに手に取ってほしいです。
ただ、惜しむらくは『戦車』の本なので、突撃砲や駆逐戦車といった車両については殆ど触れられてい無いこと。(前作では軽く触れています)
本書のスタイルでの、これらの車両の詳しい解説も読んでみたかった(オーバーボリュームになるのは分かるけど…)ので☆を一つ減らしました。
あと、背表紙がもろにパンチラなので、本棚に置く際には十分注意してください(笑)。
名実共に『萌えミリタリー』
★★★★★
前回はオマケ同然だった萌え要素が、今回は全面に押し出されている。そしてそれがうまい具合に解説を手助けしていてわかりやすい。
萌えに興味が無くとも、初心者ならば買って損は無いでしょう。
正しい戦車の使い方を教えてやろう……!!
★★★★☆
前作は「戦車について」で、今作は「戦車の使い方」と徐々にDEEPな世界へと足を踏み入れようとしています。「1型・2型」通して読めば、「駆け出しミリタリーマニア」が一人できあがるというナイスな構成&分かりやすい解説。やりおるわ、イカロス出版!
前は「解説本」としてかなりの高品質でしたが、漫画と書き下ろしイラストが少なく「萌えよ」の名を冠すには、まだまだ足りないところでした。しかし、今作では写真が減って書き下ろしの解説イラストが爆増!見間違えるほどの出来映え。特にセンターカラーで無駄に露出度の高い服(秋山教官に至っては、帽子と褌のみ)と有名戦車の絡んだイラストなど、もう笑いがでるところもしばしば。表紙の裏にも主砲(ちち)比較とかあって、あそび心も増えました。肝心の解説も、各国の主力戦車の歴史とスペックについて分かりやすく解説し、それを受けて各国の戦術を解説するスタイルなので、何ら専門知識はいりません。ミリタリーさんは一国についてとことん調べる人が多いかと思うので、守備範囲外の国の戦術について知るにはいいかもしれません。しかし、若葉な内容なので知っている人にはやはり知識の確認しかなりません。
前作に比べてかなりの進化をしており、企業努力が光ります。これが好調だと、3型出版するらしいです。今度は戦争に対する各国の思想&実際にあった戦闘小話をやりたいそうな……。がんばれ、イカロス出版!
余談ですが、どうやら作者は日本戦車ファンらしい。かくゆう自分も日本愛国なので、今後も長いおつきあいがしたいです。あと新キャラのフランス人セシル、「痛いキャラ」という設定通り痛いキャラなのである意味拍手。