ジャケ買いの誘惑、ふたたび・・・・・。
★★★★★
いやー、CBS・ソニーって本当にいいレコード会社だなーと、かのマイク水野閣下ではないが、しみじみと思った72分間だった。まさにオレは、この―1968年設立。91年に社名変更した―CBS・ソニーの《音》に育てられたようなもんだけに、この、聴いたことのない曲が大部分を占めるコンピレーションを前にしても、やはり感慨もひとしおといった感じ。リバティ・ベルス「幸せがほしい」、シンガーズ・スリー「水もれ甲介」のように、何度も聴きたくなってしまう魅力的な曲もいっぱいあって、素直にうれしい。
一方、途中で急にメロディーが演歌調になるリッキー&960ポンド「ピタゴラスの定理」、故・寺山修司による歌詞がユニークなハイソサエティー「世界へジャンプ!」など、奇妙な面白さのある楽曲もいくつかあるし、あまりにもスケールが壮大すぎて、いきなり流れて来るとあたふたしてしまうアダムス「旧約聖書」の「な、何なんだこれは一体」感は、彼らの前身バンド、アウト・キャスト時代の「のっぽのサリー」にも通じるものがある。そして伊東きよ子「青いシャツ」や村井邦彦「朝・昼・夜」に漂う“淋しさ”、そして“マンション・フィーリング”((c)横山剣。「朝・昼・夜」の舞台はアパートですが…)は、とても愛すべきものだ。
なお、南沙織「美しい誤解」―筒美京平作曲による、軽快なボッサ―の、以前CD化された際、気になっていたイントロ部分のノイズは、除去されている。
ただ、ひとつだけ言わせてもらうと、いつもながらグッジョブな濱田さん(コンパイル担当)ではあるのだが、今回、ライナーにちょっとラフな部分があるように思う。特に天地真理「白いバラの道」の作者名が、曲目リストとライナーで異なっている(正解は曲目リストの方)。こういうことは混乱を招くので、もうちょっとしっかりお願いしたいところではある。