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環境ノイズを読み、風景をつくる。 (建築文化シナジー)

価格: ¥2,500
カテゴリ: 単行本
ブランド: 彰国社
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風景のアイデンティティ ★★★★☆
 「環境ノイズエレメントって一体?・・・」まず最初に著者はその問いに簡潔に答える。

 たとえば地形といった自然物や土木構築物あるいは過去の都市計画といったものが、物理的あるいは社会的に硬くて壊しにくいという理由で、現代の都市計画に異物感やより具体的に障害や影響を与える。・・・その結果、本来その「計画」が志向し誘導しようと試みた風景の秩序に「ほころび」が生ずることになる。そういった空間的に現象した「計画」の「ほころび」のことを「環境ノイズエレメント」と呼んでいる。(抜粋)

 そして、その「環境ノイズエレメント」を「風景にアイデンティティを付与し、場所のイメージアビリティを高めることに貢献している」と指摘し、さらに詳しく説明すべくタイプ別に分類する。

 具体的には、素材性による分類として、「自然地形」「土木構築物」「文化財」の3項目を挙げ、さらに加工性による分類として、「トレース」「切断」を挙げる。「トレース」とは素材の外形をなぞることによって形態が新素材に転写されている状態を言い、「切断」とは素材に直接的な減築的変化が生じている状態を言う。

 本書の構成は大きく二つに分かれており、前半では具体的な「環境ノイズエレメント」を挙げつつその分析を行い、後半では「環境ノイズエレメント」の分析結果を如何にして実際の設計活動に生かしているかを具体的なプロジェクトを挙げつつ説明している。

 「まち」について考える上で、「環境ノイズエレメント」という発想は非常に興味深い手法であると思う。ただし、それらを発見する眼は非常に感覚的であり、さらにそれを分析し何らかの興味深い(歴史的)背景を発見することなどを鑑みると、誰にでも採用できる手法ではないのが少し残念に思う。ちなみに、後半の自身の設計活動との関わりにおける論点では、若干強引な感は否めない。