非常に興味深い一文は「『美空ひばりは日本の恥』ではない」という一文だ。本書のエッセンスが集中している文だと思う。戦後、羽仁五郎は「美空ひばりは日本の恥だ」といった。また中野好夫は「演歌とか流行歌は便所のようなもので、なくちゃ困るが玄関に出すようなものじゃないよ」といっていたという。五木は今、歌謡曲、演歌に目を向けているという。「情の力」。そこにはまだ未知の、未開拓の可能性が眠っているのではないか。