主要道教経典の解説
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中国の民族宗教である道教については、近年幾つかの良心的な概説書が出ていると思いますが、道教徒が実際にどういう類の経典を読んでいるのか、ということについて分かりやすく説明したものはありませんでした。本書のあとがきにもあるように、仏教や儒教の経典に関する解説書の(質はともかく)量の膨大さに比べると、これはやはり寂しい状況です。
そのような状況の中、本書は膨大な道蔵の中から、太平経に始まり、陸先生道門科略など主要な十九の経典について抜粋訳を示しつつ、夫々の経典がどのような内容を持ち道教史上でいかなる意義を持つものかを、なるだけ簡単に解説しようとしたものです。これまで類書がなかっただけに、極めて貴重な存在ではないかと思います。