観光の目的として、美しい景色を見るとか温泉に浸かる、あるいは美味しいものを食べるということを第一に考える人は圧倒的に多いに違いないが、なかには建築物を見るということを第一に考える人もいる。建築物を見るという明確な目的意識がなくても、東京タワーに上るとか京都の清水寺に行くというように、そこにある建築物そのものあるいはそれによって作り出された空間を楽しみに行くということが、観光・旅の主目的になっていることは、案外多いのである。

　　この本は、九州／沖縄8県の660もの注目に値する建築を紹介するガイドブックのようなマップ。観光ガイド・観光マップといえば温泉と食べ物情報しかないようなものが多いのであるが、この本にはどこにどんな建物があるのか、一目瞭然に分かるありがたい本である。

　　限られた紙面の中にいろいろと興味深いコラムなども多数収録されているため、収録された建物の多くで、それぞれの建物に関する写真や説明は必要最小限のものになっているが、興味のある建物が見つかれば、あとは自分で訪れて下さいということで、巻末には電話番号や見学可能時間、ＵＲＬなどの見学案内が付してある。一般の観光ガイドとともにドライブに持ち出せば、旅先がさらに充実すること間違いなし。お勧めの一冊である。