参考にはなるが、鵜呑みにするのは危険
★★☆☆☆
省庁の通知や判例の抜粋などの引用が多いため、一見すると情報量が多そうに感じられるが、いかんせんほとんどの説明が非常に冗長。実務上必要なエッセンスのみを取り出すと、本は半分の薄さでも十分だったように思う。価格も類書と比べても高すぎる印象。会社の経費で買う人にとっては関係ない話だろうけど。
実務に相当詳しい人でないと使えこなせそうにない本。応用問題の記述が8割程度を占めるので、入門者が読むと逆に混乱しそう。
有名な通知の内容を深く掘り下げて解説している点は評価できるが、最後まで掘り下げきらず、どう解釈するかは読者の判断にゆだねているところが多い点が残念。小説ではなく実務書なので、法律的に一番問題が無い方法を解説していただきたかった。
また、「○○しなくても罰則はありません」と言い切ってしまっている箇所が多いが、廃棄物処理法をもう一度読み直すと、間違いの部分があった(p122の「マニフェスト交付等状況報告を怠っても罰則はない」という部分)。
その他、「(p110)そもそも処理業者は虚偽記載をする際にはバレないようにしているものです。」という表現が非常に不快でした。根も葉もない思い込みで、特定の業界の人の評価をおとしめる表現をすることは適切ではないと思います。
以上のように、類書にはない切り口は確かに新鮮であるものの、読む人によって好き嫌いが分かれやすい本だと思います。
廃棄物管理実務経験3年以上のベテランで、自社内の多サイトの現場から廃棄物に関する相談を受けるような立場の方には、参考になる点が多いでしょう。
逆に、廃棄物に関する知識に自信がない人には、この本ではなく、他の基礎的な類書から読み進めることをお奨めします。