たまにこういう本も読みたくなる
★★★★☆
この本、読んじゃったら貶せないですね。
桜井さんが途中、狼少年の話を持ち出して「狼のお腹の具合で食うか、育てるか、百八十度違うのは人からすれば矛盾に感じるけど、狼にしてみれば、そのときはそうだったというだけの話です」(p123)なんて仰ってて、狼少年の話は最近ではウソというのが通説のようだからハラハラもした。甲野さんが「ハエは、扇風機の前をスーッと横切って飛んでいけますが、これだって大変なことです」(p32)なんて言っていて、ハァ〜、と一瞬感動したんだけど、しかしハエが扇風機の前をスーッと横切って飛ぶところは見たことない気がする……なんて、そんなところを突付いても仕方ない気がする。
こういう「名人の芸談」みたいな言葉の世界に、どう対峙するか。確かに賢しらに抗っても、自分がバカに思えてくるだけってところはある。
甲野さんがルーブル美術館に行って疲れたという話をしていて、「それぞれの作品は素晴らしいのですが、それをあれだけ集めて、これでもか、これでもかというくらいに陳列していることに、人間の欲とか業の深さを感じたんでしょうね」と言えば、桜井さんが「あれはみな戦利品のようなものですからね」と応じる(p217)。そういう真っ当な言葉の応酬が心地よい。
現代日本人の必読書
★★★★★
現代の常識を超える身体の使い方を提案し、スポーツや介護の世界から注目されている、古武術の達人甲野先生と、闇の世界の麻雀で20年間無敗の通称「雀鬼」こと桜井章一が、人間本来の身体の使い方について対談しています。頭に偏り過ぎている、現代日本人は是非読んで欲しい本です。
身体の使い方、人としての感覚、常識、直感力、分野の枠を越えて全体を俯瞰すること、トータルに人を見ること、総合的なバランス感覚の重要性・・・こうしたことを、非常にわかりやすく語ってくれています。二人の話はわかりやすいだけでなく、実に奥が深いです。学者であれ、教育者であれ、格闘家であれ、職種を問わず、人として根本的な部分を見直すために、学ぶところの多い本だと思います。身体を使うこと、矛盾を体験すること、人と関わること・・・それによって感性が磨かれて、部分に囚われずに全体を俯瞰できるようになるのだと思います。常識を鵜呑みにするのではなく、自分の感性を中心にすること、自分の責任で考えることの大切さを感じさせてくれます。
物事を自分の頭で、真っ当なプロセスで考えるということ。それはいわば、普通(当たり前)のことを普通(当たり前)に考えられるようにすることです。身体を使うこと、矛盾を体験すること、人と関わることで感性を磨き、そうやって磨いた自分の感性を中心にして、自分の責任で考えるということ。
そうした基本を知りたい方は賢い身体 バカな身体といま、すぐはじめる地頭力を併せて読んでいただければと思います。
死なないカラダ、死なない心 宇宙のエネルギーで身体をつくりかえる (講談社BIZ)という本も、ただ鵜呑みにしただけの知識ではなく、著者自らの体験による実感を通して語られているために非常に説得力があり、お勧めです。
私が作成した"リストマニア"リスト「民主党とマスコミから日本を守るために」も参考にしていただけますと幸いです。
科学的に説明がつくものなものなんて、世界のほんの一部だよなと思わせてくれた本。
★★★★☆
雀鬼、桜井章一と、ナンバの甲野氏の対談が面白くないわけがない。
身体や身体性をキーワードとした対談は、ところどころ奥が深い発言があり、飽きさせない。
裏づけや証明のある科学でない部分での、達人の考えるところ、身体の感じ方、時間の感じ方など。
読み物として、大変楽しめる。目に見えたり、科学で証明できる分野なんて、世の中のたいした割合じゃないよな。と素直に思える一冊。
そうした感性の大事さを考える人に。ぜひ。
達人の対談
★★★★☆
裏麻雀の世界で20年間無敗を誇った伝説の雀鬼こと桜井章一氏と古武術の達人である甲野善紀氏の対談。本書は5章からなり、身体の話から現代社会の問題まで語られている。二人の共通見解としては人間が自然との触れあいから離れているということ。自動車、電化製品、携帯電話などがあり、便利な世の中になっているが、その分だけ身体は弱くなっているのだと。物質的には恵まれていても、精神的には貧しい人が増えている日本社会の現状があるのだろう。
知識偏重、科学絶対主義の現代についての話なんかも印象的だった。
達人ならではの感覚、感性を知ることが出来るという点でも貴重な本。
本物!
★★★★★
本書が本来の人のあり方だと感じた。この対談は本物である。
先ず手の取って見よ!そして読後、批評すべし!体震えること間違いなし。