お隣の国では「坂の上の雲」が教科書
★★★★☆
知の怪物とお隣韓国の元インテリジェンスの対談本。
情報量としては多くないかもしれませんが、
この取り合わせが面白く、さくさく読めてしまいます。
北朝鮮の実力
陸軍中野学校の話
アングロ・サクソンの結束
など気になるポイントがありました。
また、コウ・ヨンチョル氏が海軍士官学校の教員をしていたときに
生徒に「坂の上の雲」を読ませていたというのが心に残りました。
インテリジェンス(国家情報収集活動)
★★★★★
インテリジェンス(国家情報収集活動または国家防諜活動)という単語を知りませんでした。
そのため、書かれていることが、今一歩ピンと来ません。
商社の情報収集能力には、よくお世話になっています。
商社では、御用聞きと顔色伺いから、非公式の接触で情報を得ているとのことです。
そこから、どう膨らませていけば、防諜活動につながらうかは想像できません。
韓国と日本の関係がうまくいく上でも、本書のような両国の人間による共同著作が増えて、意見の違いと合意できる点が増えていくとよいと思われました。
ps.
韓国と日本の関係は、フランスとイギリス、ドイツとイギリス、デンマークとイギリス、オランダとイギリス、スウェーデンとイギリスの関係を足して5で割ったようなものという印象です。
世界の情勢を知れ
★★★★★
政治、軍事、経済において大きな力を持つ国家情報(インテリジェンス)。日韓インテリジェンスの第一人者が、友好国間のインテリジェンス協力、政治とインテリジェンスの関係、さらには核、北朝鮮、日本の未来をも論じた対談集です。
各国の諜報機関や六カ国協議の裏の目的など、新聞を読んでいるだけではわからないことが、第一線の情報分析官の実体験に裏打ちされた思索から読み解かれています。
国際面の読み方が変わる
★★★★☆
インテリジェンスとして活躍しながらも国策捜査に巻き込まれた2人による、インテリジェンス雑談集。
雑談集ではあるが、その内容には通常知りえぬ興味深い話が多く、一気に読みきってしまった。エシュロンや偵察機、盗聴器などのインテリジェンスを支えるハードウエアの性能が想像以上に進んでいること、北朝鮮のインテリジェンスが非常に高水準であり、韓国の大統領選挙を左右するような情報操作が行われていることなど、現在進行形のニュースの裏側を垣間見ることができる。また、歴史上の大イベントについてもインテリジェンスの目線からの考察があり、2時間たっぷりと楽しませてもらった。
「薄味」
★★★★★
他のレヴュアーの方の意見にもあったが 「濃厚な」佐藤優の著作群にあって本書は比較的薄味である。勿論 「薄味」は「薄味」なりに味わいがある。
本書は 日本人と韓国人が お互いの国に軸足を置いた上で語り合うインテリジェンス論である。日本と韓国の関係が そもそも微妙であるわけであり その辺で お互いの話し方にもオブラートに包まれたものがあると僕は感じた。
これは日本と韓国の間の歴史という切り口だけではなく そもそも地政学的に隣接している二つの国は それだけで微妙であるであろうという僕の理解である。
それが「薄味」の出汁なのだと思った。
そんな二人だけに 日本と韓国以外の国に関しては 議論に勢いが出てくる。本書の「仮想敵国」としては まずは北朝鮮ということになるかと思うが 韓国のインテリジェンスの立場で披露される「見立て」は中々勉強になった。
また 北朝鮮を挟んで語られるロシアも興味深く読めた。特に正教会を切り口としてロシアが北朝鮮と交渉しているという説明は 神学校を卒業した佐藤ならではの視点である。僕は 佐藤の本が非常に新鮮なのは 何より彼が宗教を使って現実世界を読み解く点にあると思う。これは宗教を忘れている日本人には 中々見えてこないからだ。