西洋絵画を巡る身体性
★★★★☆
タイトルどおり、西洋絵画を巡る身体をテーマにした本です。信仰における身体、そして各部位の意味を考察することで、筆者は作家の、そして民衆の、生と死のイメージを見出そうとしています。
とは言っても、美術に対する洞察・評論のみの堅い専門書ではありません。著者の幼い頃の記憶について、旅行風景についてなど様々な話題を絡めていますので退屈せず読めるのではないでしょうか。専門用語の使用も意識的に避けられているようです。
ただ、一応新約聖書やごく基本的な美術史・図像学の知識があるとより読みやすい(理解しやすい)かと思います。もちろんこの本を読んで興味を持つのもありだと思いますが・・・。
また、全ての時代からまんべんなく作品を取りあげているのではなく、話題の中心は15・16世紀のドイツやネーデルランドの作家・作品ですので、そのあたりに興味のある方にお薦め。