英語史の本は随分出版されているにもかかわらず、語学的な古英語、中英語に関する本は大修館の英語学大系や研究社の故市河三喜博士による著作(古くは研究社英米文学語学講座のパンフレット、故厨川文夫博士による著作)以外少ない。中英語のみとなると絶版となって久しいブルナーの中世英語文法概説(厨川文夫訳)しかなかったように思う。
本書は古英語と対比しながら中英語文法を簡潔かつ具体的に述べている。内容の高度な部分もあるがじっくりと読み進めていくと、テクスト編の作品群も素晴らしい注と現代語訳の助けを借りながら読んでいくことができます。本書は日本語で書かれた中英語を扱った入門書として貴重であると思います。