疾走する社交場
★★★★★
まるで自分がほんとうにオリエント急行の乗客になった気分。乗り込む前の駅の賑わいも見えるようだし、構内の売店から漂う匂いからして嗅げるような文章である。アガサ・クリスティを引き合いに出すまでもなく、貴族、外交官、大富豪、小説家、時にはスパイ・・・と夜ともなれば紳士淑女の集う社交場と化すオリエント急行。それが闇に包まれ、外は見えなくとも、車両は移動している。まさに、疾走する上流社会の社交場。ドラマが展開しないはずはない。と、勝手な想像にワクワクしてしまう。サービスも最上級。嗚呼、至上の悦楽。一生に一度でいいから体験してみたい・・・妄想シュミレーションとしても、最上級。