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おてらくご―落語の中の浄土真宗

価格: ¥1,890
カテゴリ: 単行本
ブランド: 本願寺出版社
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時宜を得た一冊 ★★★★☆
お寺で落語会が開かれることが多くなっているという。さらに、落語の源流ともいわれる芸能風の説教、特に浄土真宗で開発されかつて一世を風靡した節談説教が、最近また復活しつつあるという。そうした仏教と話芸の伝統が再評価されつつある現状に掉さす本である。
落語がどれだけ仏教&説法の影響下にあるのか、釈氏がこれを平易に説明するのが主な内容。基本的には関山和夫氏の独創的な研究(『説教の歴史』など)に依拠しつつ、釈氏が彼一流の啓発的な語りでその実情を平易に解説しており、面白く読める。落語の中で活き活きとしている豊富な仏教(宗教)文化が理解できる。評論家の小谷野敦氏がかつて「落語を知らない人間が日本文化(史)を語れるものか」という趣旨のことを書いていたが、落語を知らない人間は少なくとも日本の宗教文化(史)を十分に語ることはできないだろうと改めて思った。
こうした落語/仏教レクチャーに加え、本書には節談説教と落語(2席)の録音CDが付いており、またその手引き(噺のテキストなど)が記されている。いずれもベテランクラスの説法者/演者による入門篇的なわかりやすいパフォーマンスで、ききやすい。説教のもつ落語的な笑いの感覚の冴えと落語がもつ説教由来の人間論的メッセージの深みの双方を、ともに堪能できることだろう。