患者本位の新しい医療
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本書は西洋医学を修めた医師による、鍼灸医療の要素を取り入れた自立神経免疫療法を紹介する本です。
本書の内容は大きく2つに分かれます。まず1つ目は従来の医療のあり方に対する批判です。西洋医学は病状に応じて投薬や手術を施す対象療法であり、病気になった原因を放置していると著者は主張します。そのため、膠原病、がんや生活習慣病は治癒せず、薬害や副作用、そして経済的な負担など多くの災禍をもたらします。しかし、病気の原因である生活におけるストレスを見なおし、生活を改善することで病気の原因を除去できる。そして、自立神経の働きを調整する治療を施すことで、自然治癒力を回復させ、病気を治すという自立神経免疫療法を打ちたてます。
2つ目はその自立神経免疫療法の紹介です。従来の刺絡療法のように痛みを与えることで自立神経系に働きかけるのですが、皮膚を突き破るようなことはしません。血が出ない範囲で刺激します。そして神経学のデルマトーム(髄節)に基づいた脊髄反射個所を刺激します。また、白血球とリンパ球の数の比率によって自立神経の状態を把握する診察法が確立しており、鍼灸のように勘と経験に頼らなくても客観的に判断できるようになっています。
治療までのプロセスや体験談、各病状ごとの治療法も掲載されており、この一冊で無血刺絡療法(自立神経免疫療法)の全貌が分かります。理論も治療法もシンプルなので、まさに患者本位の医療となりうるものだと思います。