藤城さんの作品は、ほんとうに１ページ１ページにじっくり見せられるすばらしいものだと思います。
この本の中には光と影という題を使われているだけあって影絵と光の相乗効果がまさに幻想的な世界を作り出されている作品がたくさん載せられています。
また本の終わりの方にこれらの作品がどのようにして作られたのかを紹介説明されているページからは藤城さんの作品へこめる思いを感じることが出来、また、その思いを感じながらはじめのページへ手が動いてしまいました。

そんな一冊です。
これは作品集というよりも、作品に寄せる心集ですね。
作者の藤城さんがご自分の作品に込めた想いはもとより、
藤城さんと交流を持たれた方たちの作品と作者に対する愛や尊敬が、
寄せられた文を通して伝わってきます。
作品を目にした時と同じように、心の温かさを覚える本です。

そしてこの本の目玉はなんといっても、

猫が遊ぶ作業机でお仕事をされる藤城さんの姿や
藤城さんお手製と思われる小人の人形がこちらを伺う写真が収められた「アトリエにて」と、
藤城影絵の制作工程を逐一明かした「影絵が生まれるまで」でしょう。
特に後者は材料や道具まで紹介されており、
影絵を始めてみたい手芸ファンにも胸を張ってお薦めできる内容です。

『暮らしの手帖』や影絵などでおなじみの藤城清治さんの影絵が、数多く収録されています。作品は「四季」「童話」「聖書」「生命の謳歌」など、ジャンルに分けられて紹介されているのですが、実に見事な作品ばかりでページをめくる度に藤城さんが織り成す素晴らしい影絵にうっとりしてしまいました。傑作選から白黒の作品、手がけたCMやデッサン、影絵劇など、影絵作家としての47年間の藤城さんのお仕事も紹介されています。藤城さん自らが作品の解説をされており、作品への思いを語られていらっしゃいます。また、実際に藤城さんが影絵を作られている現場の紹介もあり、どのような過程で藤城さんの影絵が生まれて行くのか、丁寧に追って説明されています。藤城清治さんの作品が大好きな方はもちろん、どな!たでも楽しめる贅沢な１冊です。