アメリカの労働人口の4人に1人が、本書で言う「フリーエージェント」という働き方を選んでいるという。フリーエージェントとは、「インターネットを使って、自宅でひとりで働き、組織の庇護を受けることなく自分の知恵だけを頼りに、独立していると同時に社会とつながっているビジネスを築き上げた」人々を指す。フリーエージェントたちが、そういった働き方を選んだ理由、そしてその生活と仕事の実態が詳細に描かれている。著者が1年かけて全米を旅し、大勢のフリーエージェントたちに直接会って調査しているため、机上で練られただけの社会論にはない説得力がある。
本書の著者は、米上院議員の経済政策担当補佐官、労働長官の補佐官、副大統領の首席スピーチライターを務めたのち、フリーエージェントになった経験の持ち主。フリーエージェントの実態調査をといったミクロな視点と、フリーエージェントが社会に与えるインパクトといったマクロな視点からの議論がほどよくミックスされ、社会の大きな潮流をとらえた論述となっている。
「いまの仕事が永続するなどと言える人はどこにもいない。誰もが『臨時』労働者なのだ」というとおり、現代の環境においては、企業に人生すべてを賭けることは難しい。しかし、日々問題にぶつかりながらも、自分らしい働き方を模索しているフリーエージェントたちの「証言」は、本書を生き生きと彩っている。また、成功しているフリーエージェントだけではなく、万年臨時社員として不当に搾取されている層についての論述も詳しい。
日本では、社会のフリーエージェント化に関しては、アメリカに大きく遅れをとっている。しかし、正社員にならない働き方に対する関心は高まりを見せており、一部の業界では、すでにフリーエージェント社会になっている。本書の第5部で描かれているような未来の社会が実現するのも、そう遠い話ではないのかもしれない。(朝倉真弓)
新しい働き方を気付かせてくれる1冊
★★★★★
アメリカではこの本が出版された2001年段階で、就業人口の4人に1人が、なんらかの形で「フリーエージェント」、即ち「雇われない生き方」を選んでいるとのことだ。原書は10年近く前のものだが、新しい働き方として大変参考になる本だ。日本でもこうした生き方をする人は今後増えるに違いない。
新しい仕事のあり方
★★★★☆
重たい本かなと思ったら、超わかりやすくポイントがまとまっていてサラッと読めた。まもなく日本でもこういう時代がやってくると考えるとワクワクする。渡部薫さんとか既にこういうスタイルを実践しているし。→ http://bit.ly/diqFSR
今の企業への勤め方がどれだけ不自然なことかわかる
★★★★☆
企業に属さず、「フリーランサー」として生きていく人々と、それを取り巻く環境について述べた本。
多くの実例が挙げられていて、非常に説得力がある。
02年のアメリカの話ではあるが、日本はアメリカから10年〜15年ほど遅れているそうなので、12年〜17年くらいには、日本も本格的にフリーエージェント社会になるのだろう。
実際、07年の時点で、僕の周りにもフリーランサーは数人いた。
その時は「リスキーだ」と思ったが、この本を見ていると、それが間違いであることに気づく。
そして読み終える頃には、自分もフリーランサーになりたいと思っていた。
僕が30歳になるころには、日本にもフリーランサーが溢れているのだろう。
アメリカはどうなっているのだろうか。半数以上がフリーランサーという社会になっているのだろうか。
少し考えれば、今の企業への勤め方がどれだけ不自然なことかわかる。
当たり前すぎて考えもしなかったけど、これは不自然な状態なんだと。
30歳でフリーランサーになるために、残りの5年間をどう過ごすか・・・。
ちょっと難しいかもな(笑)
とはいえ、ゆくゆくはフリーランサー。
これは、決定。
バランスが良い、弱い絆の力には驚いた。
★★★★★
私自身、フリーエージェントとして活動していた時期があって、
就職した後も「自立」「会社依存しない」を
コンセプトにしてきたので、大いに感銘した。
もちろんバラ色の側面ばかりでなく、
負の側面も描いており、バランスがとれていると思う。
「第8章 互恵的な利他主義」は、
自分が運営しているコミュニティのよい運営指針となった。
特に「弱い絆の力(179頁)」は
目からウロコが落ちる思いであった。
会社に依存せず(会社に勤めるかどうかは関係ない)、
自立自尊の人生を目指す人の必読書
ネット社会がもたらした自営業の復活
★★★★★
「働き方」や「教育」、そして生活の変化を考える上で、とても貴重な1冊である。
フリーエージェントは、インターネットがもたらした自営業の増加、ネット社会によって、地域社会の復活でもある。
ダニエル・ピンクは、スピーチライターとして活躍していた時期がある人物である。
彼の社会を観る視点と、それを表現する文章力に引き込まれる。
p148〜164 ベンジャミン・フランクリンの話題も出てくるのだけど、一読の価値がある。
p227 億万長者に最も共通するのは、組織に雇われずに働いていることではなく、「慎重に配偶者を選んでいる」ことだった。
p306 二〇世紀のはじめまで、ほとんどのアメリカ人は「読む」ことによって、独学で物事を学んでいた。文字を読めることと本を手に入れられることは、知識を得るための切符だった。それはいまも変わっていない。
パソコンの普及、ネット社会、宅配便と、個人事業の環境が整ってきた中で、ひとりで仕事ができるようになってきた。
それによって、個人の生活と社会との関わり方など、ダニエル・ピンクの「時代の先を読み、今を分析する能力」に魅せられました。