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なぜ、アメリカ経済は崩壊に向かうのか―信用バブルという怪物

価格: ¥1,890
カテゴリ: 単行本
ブランド: 日本経済新聞出版社
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すごいエコノミスト ★★★★★
2007年から信用市場バブルの危機を警告していた驚異の本。
著者はバンカーの後、CDOなどを組成するソフトウェア会社にいたようなので、まさに間近で現象を見てきた人です。
シカゴ学派からの自由放任主義と市場原理主義を推し進めた結果として、現在の危機があると解説されています。
2007年に著者が、損失が1兆ドルと推計したときに、多くの市場関係者は「ありえない」として耳を貸さなかったそうですが、現実にはそれを上回る21兆ドルの経済損失が生まれました。そしてこの本の出版の数ヵ月後に、自己資本の40倍ものレバレッジを掛けてCDOの有害廃棄物の部分を溜め込んでいたリーマン・ブラザーズが破綻しました。CDSのプロテクションをプレミアム狙いで大量に売りまくっていたAIGは、クレジットイベントが発生したとき、支払い不能に陥り国有化されました。
また、金融危機から連鎖する米国債やドルのリスクにも触れていて、非常に読み応えがあります。
通貨に関する分析は、ジョージ・ソロスから助言を受けたそうです。
サブプライムの原因は分かりやすい ★★★☆☆
『なぜ、アメリカ経済は崩壊に向うのか 信用バブルという怪物』は、読むのが少し遅かったかなという印象。バブル発生については、非常に分かりやすく書かれています。バブルによる信用損出の規模についてもかなり正確な予測をしました。しかし、氏が最後に指摘しているのはシカゴ学派を中心とした市場主義の主張は行きすぎであり、いまこそ政府による資源配分、小さな政府、政府と市場の均衡について考え直すべきだ、振り子が逆に振れる時代がきたと結んでいます。

経済学者にとって、経済とか景気は周期的な振り子のようなものという認識でしょうか。確かに歴史がそれを示してはいます。周期の谷に当たった世代はたまったものではないんですけど。

人間って悪いことを忘れる便利な生き物! ★★☆☆☆
米国経済が崩壊に向かうかどうかは別にして、最近再び米国の景気に対する懸念が高まって株価が冴えない動きをしています。
いうまでもなく主に00年代前半に膨らんだ信用バブルのつけを今払わされているのですが、この本ではまずそこに至る過程を70年代の大インフレとそれを退治したFRB(米連邦準備制度、米国の中央銀行制度)の取り組みにまで遡って、論じています。

つまり「なぜアメリカ経済は崩壊に向かうのか」というタイトルとは裏腹に、まず歴史を振り返るわけです。
この時点で「崩壊に向かうのか」という問いに対する答えが主題ではないことが分かります。

それはさておき、70年代から振り返ると、今に至るまでインフレの時代、ドル安・ドル高、87年10月の株の大暴落、S&L(貯蓄貸付機関)の経営危機、90年代初頭の不動産不況、アジア通貨危機、ロシア危機、LTCMの破綻、ITバブルの興亡等々、挙げればキリがないほど様々な危機があったことが思い出されます。
そういった歴史を簡潔に学べる点ではこの本の意義はありそうです。

そして結局明らかになるのは「人間は学ばない」ってことでしょうね。

さて本題ですが、この本を読んでも米国経済が崩壊に向かうかどうかはわかりません。
わかることは「人間は悪いことも忘れる便利な生き物」だということでしょうか。
でもそう考えると、今は危機的に見える米国経済もいずれ復活するような気がしてきます。
リベラリズムと保守主義 ★★★★☆
アメリカではベストセラー。

この本の根底にあるのは、アメリカではリベラリズムと保守主義が振り子のように代わる代わる現れるという単純な史観であり、それは単純すぎるきらいもあるがその分話をわかりやすくしている。

ロナルドレーガンのレーガノミクスに始まるアメリカの新自由的政策によって、政府は過度の規制緩和を進め、それが金融セクターに於いてはクレジットバブルという時限爆弾を作ってしまった、というのが議論の一番の柱だ。

それが金融工学という現代的ツールを利用することで莫大な損失を生む結果となった。金融機関はサブプライム証券を切り刻んでいかにもリスク管理がなされているかのように証券化し、それを世界中に売りさばいた。しかし、理論上は相関の低い資産を組み合わせてポートフォリオのリスクを低減しているように見えても、住宅バブルの崩壊のようなマクロ経済ショックが起こると一気にデフォルトが発生し、証券化商品は紙くずと化してしまう。

しかし、サブプライム関連の損失は全体から見るとそれほど大きなものではなく、それを引き金にして、過度なレバレッジによる信用収縮が起こったことがこれほどまでの損失を出した主因であるという。

そこで筆者はレバレッジ規制やグラススティーガル法(商業銀行と証券会社を分離する法律)の復活まで踏み込んだ提言をしている。

難しいのは保守主義も70年のリベラリズム(大きな政府)の失敗から生まれたものだと言うこと。正解はよくわからない。

訳文はこなれてない印象で読みやすいとは言えない。また、アメリカの制度的問題を論じるところでは知識がないので少々退屈に感じてしまう。

ただし、野村証券のエコノミストによる解説文は非常に良いサマリーになっている。
アメリカの人材の層の厚さと質の高さを痛感する好著、日本のエコノミストが束になっても敵わない ★★★★★
早くから証券化商品の危険性を嗅ぎ付け、2008年初頭には1兆ドルの巨額損失(原題はトリリオン・ダラー・メルトダウン)を警告していた著者による、実に質の高い著作。日本のエコノミストのいかなる著書よりも当書1冊の価値の方が高いと断言できる。今更に強欲資本主義を批判している泥縄評論家たちの遥か先の高みに、当書は既に到達している。

ヘッジ金融主体からポンジ金融主体へと、リスクを忘却し不用意にレバレッジを高めてゆく過程は今後も繰り返されるであろう。ミンスキーの理論もコンパクトに纏められており、門外漢としては大変に勉強になった。感謝したい。

他のレビューにない重要な点を3つ挙げたい。この日本社会のためにも。

著者はアメリカの保守派とリベラルが交互に優位に立つ政治サイクルの存在を指摘し、いずれの陣営ともに長期間政権を維持してゆく中で自身の欠点を露呈し腐敗してゆくこと、従って特定の政治勢力が勝利を収め得る期間が限られていることを指摘する。

また、アメリカ経済が市場という神に懸命に奉仕した結果が産油国と中国の台頭であり、アメリカの繁栄を支えていた循環構造が終わったことも明示している。

同時に、これまでのアメリカの繁栄を支えたのは教育や交通網、インターネットインフラなどへの投資であり、政府による賢い予算配分が大きな成果をもたらしてきたことも指摘しており、最盛期を過ぎたアメリカの活力が尚も力強く息づくであろうことを予感させる。

日本経済の方が深手を負っているのも或る意味当然である。経済や社会の構造を一変させ得るダイナミズムから我々が学ぶものは依然として多いと考えざるを得ない。