おもしろいがクセが強すぎる
★★★☆☆
書かれている内容はおもしろいのですが、いかんせんクセが強いです。
自虐的な話もあるのですが、どうも警察や自らのことをヨイショしようしようと言う姿勢をひしひしと感じます。
著者である北芝氏はテレビで何度も拝見したことがあるので、そのユニークな人となりも知っています。しかし、テレビの中ではあんなにもキレと品のあった冗談が、書籍になったとたんになぜこんなにも粗悪になってしまうのでしょうか。
これでは中学生が自分や先輩の武勇伝を語っているのとなんら変わりありません。
少しがっかりしました。
エッセンスだけで短くまとめている
★★★★☆
暴力や下半身の成果を誇るような話もあれば、組織の問題点や矛盾を訴えたり、人間関係の濃密さを示したりとごった煮の内容の本です。警察という組織や職務の解説書にもなっています。
他の人なら5〜10ページにするようなテーマでもエッセンスだけで短くまとめているのでわかりやすくて読みやすい本です。もっとも読み終わって「賢くなった」とか「ためになった」といった本ではありませんが。
泥臭い体験談・裏話に、人間集団の生臭さを感じて、おもしろい
★★★★☆
警察組織の内側から眺めた体験談中心の話であり、おもしろいこと請け合いだ。
読んでいて、事実は小説より奇なりというところでした。
警察官という職種に多面的な光をあてており、裏話満載という点で読み応えがありました。「伝説の警察官」(第1章)「素顔の警察官」(第2章)に出てくるエピソードは、警察小説に登場させる警察官のキャラクターとしてどんどん取り入れられると、おもしろいのではないでしょうか。
「警察アンダーワールド」(第4章)や「警察内部の知られざる抗争」(第6章)は、小説の奥行きを拡げる好材料のような気がします。
警察小説の種本のような気がしました。
警察もやはり、人間集団の生臭い「組織」なんだなということを改めて感じました。
暴力団に汚染された日本社会の病巣
★★★★★
文庫版は基本的に単行本の内容を収録するものだが、本書は文庫化にあたり全面的に改定したとされる。単行本と文庫版の相違を比較するのも一興である。一例を挙げれば大企業と暴力団の癒着についての記述が以下のように異なる。
・単行本「東急コンツェルンが広域組織系フロント企業との仕事を通じ、コンツェルンそのものが広域暴力団組織に乗っ取られそうになった」(244頁)。
・文庫版「某コンツェルンが広域組織系フロント企業との仕事を通じたつきあいから広域暴力団組織に乗っ取られそうになった」(262頁)
単行本では東急コンツェルンと企業名を明記していたが、文庫版では某コンツェルンに後退した。ここからは日本の裏社会の闇の深さが浮かび上がる。広域暴力団関係者が1989年に東京急行電鉄の株式を大量に買い付けた事件は大きく報道され、今更隠すような性質の話ではない。
しかし、バジリコという2001年設立の新進の出版社では自由に書けた内容も、日本を代表する文庫である新潮文庫では遠慮すべきこともある。「私服捜査官として刑事警察や公安警察に所属」(著者紹介より)し、裏社会に精通した北芝氏にとって知っていても書けない内容は少なくない筈である。文庫版で一見後退した表現に変更されたという事実が、かえって「政権与党そのものがヤクザとべったり」(262頁)という暴力団に汚染された日本社会の病巣を実感させられる。
30万部出版本の文庫本化
★★★★★
30万部も出版された本が出版社を変えて文庫本化されたものです。
以前と同じタイトルの本をお持ちであれば、
増補・改訂を調べるのと、顔写真が変わっているのが楽しめます。
ですが、もちろん、以前と同じタイトルの本をお持ちの方は購入しない方がいいです。
これまで全く読んでない方には非常にお勧め。
日本映画学校などで長い指導経歴を持つ著者が踊る大捜査線の青島刑事のモデルと
呼ばれてきたように、著者が日本の漫画や映画やドラマでの
警察描写の基礎を作ってきたのがよく分かる本です。
新潮社の財前丈太郎の原作者さんの本が新潮文庫から出たのです。