人間の声の持つ可能性と魅力に心から惹かれ、長きにわたってそれを徹底的に研究・追求してきた第一人者としての自負と矜持が、この著者にはあるのだろう。確かに、本文の中に同じような表現・内容が複数出てくる箇所はある。また、真の研鑽に基づいて著者自身の直観や感性で会得した説明のしにくいノウハウを、何とか分かりやすく噛み砕いて表現しようと懸命になるあまり、読み方によっては、主張が凡庸＝内容が浅はか、あるいは、偏っている＝間違った理論、というように受け取られてしまう可能性もないではない。
しかし何事もそうだが、本物の真実とは、言葉に表してみると意外に当たり前で凡庸な内容に見えてしまうという側面がないだろうか。また、真に道を究めた人は、必ずどこかに個性的な、つまり偏った一面を、その人柄にも専門の知識の中にも少なからず宿しているものだと思う。
先見抜きでじっくり本書に向かい合ってみれば大方の人は分かると思うが、ヴォイス・トレーニングに対する著者の熱意も見識も本物だと感じられる。本を読んでいるというよりも、むしろ目の前に独自の知識と経験と情熱を凝縮した一人の一徹な専門家が立っていて、彼のペースでああだよこうだよと細かい部分まで手取り足取り指導されているような感覚である。あとは読者の好みの問題であろうが、機会があれば一読してみてほしい。それだけの価値はある。
上記のような特徴は、同著者の「ヴォーカルの達人」のほうがより顕著かもしれない。

この人の本は昔何冊か買ってみたことがあるが、
あまりの内容の薄さ、中には明らかに間違ってる理論もある事も気づき
長い間敬遠していた。

何年ぶりかにこの人の本を読んでみたが、
少しは進歩していて安心した。初心者が読んでも危険はないだろう。
ただ、本の中で使われている単語など、
他の本・誰かの理論の寄せ集め感は否めない（昔からだが）。

そういう意味で、上級者なら笑って楽しめる内容である。
初心者なら、彼の本から大体のボイストレーニングの大まかな知識を学び、自分の考えが一致した部分だけ、さらに専門書を読んで実際のトレーンニングに役立てていけば危険はないだろう。

この本はある程度のヴォーカル経験と知識がある人むけです。私は声が出ないので声量をあげるために買いましたがかなりの高レベルでとてもついていけませんでした。内容は声の音質、音色作りやヴォーカル・テクニックのトレーニングからオーディションの評価票やステージングまで声をプロレベルで通用、活躍させたい人にはおすすめです、そういう人達限定で星５つです。