「お経を読んで現世が救われるのであれば、喜んで読んでみようではないか。」
「しかし、これら仏典は難解な上に実生活を良化するに至るそんな力はないではないか。」
「ああ、それならば読まぬ方がよい。」
「そんなことをしているくらならば、プロ野球中継でも観ようではないか。」

そんな無神論者向けの仏教解説本として最高の本はないであろうか。
迷うことの多い典型的現代人、であり、かつ「過去に宗教の本を読んだことが」あり、かつ「それでも難解で理解できず」の経験があり、かつ「結局、現世は救われない」と誤認した経験のある、そんな愚生の様な読者であれば、この『真仏教の把握』は価格以上の価値をもたらすことを保証したい。
出来れば、谷口雅春著書『生命の実相』を読了後に読まれれば、知識理解が「現世救済」へとドライブしていくことと考えるが、この『真仏教の把握』から谷口雅春師という千古の英哲と対話する機会を持つこともまた、素晴らしい宗教的救済の気づきを得る契機となるであろう。

特に「維摩経」なるお経の分かりやすさたるや、そして、その現世救済力たるや・・・愚生は『維摩経解釈』（谷口雅春著）併読により、現世良化の鍵を与えられた気分である。
過去の宗教本に失望した読者階級をして「もっと早くの出会いがあれば」との感を強く持たれることとなるであろう、そんな良書であると断言する。
他に般若心経の解釈もある。この章も迷える現代人には必読であろう。
なぜならここまで平易な言葉で解説された般若心経を、愚生は他書で見出すことは出来なかったからだ。