これはちょっと・・・
★★☆☆☆
本書はイスラエルの諜報機関、モサドを扱ったものだが内容に荒さが目立つ。
まず筆者の事実誤認が散見される。例えば、モサドの人員がいくらなんでも200人では少なすぎるし、「IDF」とは諜報機関などのことなどではなく、「イスラエル国防軍」の略称であることは広く知られた事実である。こういった基本的な間違いから、さらに細かな部分の間違いまでが目立つため、筆者が「本書を信頼たるものにするためイスラエル情報機関の上層部にまで入り込んだ」と書き、いかにインタビューや調査に時間を費やしたのかと説得されても思わず苦笑してしまう。
さらに内容も本筋とはあまり関係のないクリントンの不倫話や、ダイアナ暗殺の話などが延々と続く。
よって本書は「スパイ小説」と割り切って読むしかないが、そのわりに本文が500頁以上もあって、普通に読めば途中で飽きてしまう。
また翻訳にも問題があり、例えば有名なモサド長官、ルーヴェン・シロアッフが「シロー長官」ではもはや緊張感の欠片もない。