才能と才能が、静かに寄り添い合っている。
★★★★★
写真と言葉のコラボなんて、どこにでもありふれた、ありふれすぎた形態。
けれど、この心地よさはどうだろう。
こんな本、これまでありそうで、なかった。
柔らかく、気品があって、どこか懐かしさをも感じさせる写真たち。
そこに添えられた、文字通り縦横無尽、自由自在な言葉たち。
才能と才能が、ぶつかり合うのではなく、静かに寄り添い合って、そこに佇んでいる。
写真には、言葉には、そして書物には、まだまだ可能性があるのだということを感じさせる。
知らず知らずカサついていた心に、じんわりしみてくる一冊。
ちょっとした“気付き”の昇華
★★★★★
ファインダーで切り取られた一瞬と、
そこにふわりと添えられたことばたち。
風のように優しくて、
花のようにはかなくて、
空のように果てしなくて、
心の奥底にまですっとしみ渡ってきます。
ふと開いたページを眺めるだけでもいいし、
はじめから終わりまでつらつらと進んでいくもよし。
時間を忘れ、手近なかたちで自然とひとつになれる表現作品です。
天才で美少女で、あと他にもいろいろ
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いつかは出るだろうとは思っていたけど、思ったよりも早かった。新鋭というに相応しい写真家・東野翠れんと、まさしくJ−POPの至宝・湯川潮音のコラボレーションによる1冊。翠れんが撮った写真に潮音が言葉を綴る。延々と撮り続け、延々と綴り続ける。たったそれだけの1年間の記録である。何しろ隙間っつーか、余白の多いレイアウトになっていて、その隙間で写真と言葉が静かに対話している。空間ってもんがそれぞれのページでこれほど見事に活かされた本はまたとないだろう。余白にたっぷりに情感と情報が見えては消えていく。小さな本なのに現れた空間は大きい。この本で現れないのは二人の容姿端麗ぶり。ポートレイト1発でも載せれば世の気弱な男性たちが「萌え」て買うだろうに敢えてそれをしないところに奥ゆかしさと意志の強さの両方を感じる。天才で美少女。天は二人に二物を与えたが、それ以外の「いろいろ」はこれから二人が自分で作り上げるもの。その成長を見たい。類稀なる傑作だが、傑作と世に薦めるにはまだ二人は若い。第二弾を切に希望します。