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The Art of Multiprocessor Programming 並行プログラミングの原理から実践まで

価格: ¥8,190
カテゴリ: 大型本
ブランド: アスキー・メディアワークス
Amazon.co.jpで確認
まさにアート ★★★★★
翻訳は他の方が仰るように、コンピュータサイエンスのバックグラウンドの無い方が行ったようですが
それを差し引いても頭を捻って読む価値はありました。

中盤から解説される様々な粒度の並列データ構造の数々は実に興味深く、表題通りアートと呼べる代物でした。
1960年〜2006年の論文を150本以上referし(それもACMがズラリ)関連研究捜索への手がかりが山ほど載っています。
欲を言えばハザードポインタや複数のロックフリーデータ構造の比較・性能評価があればいっそう面白かったと思いますが
決して題名負けしていない中身に対して☆5つを付けます。
訳が良くない ★★☆☆☆
第一章だけ読んで読むのをやめてしまったので、全体としての評価にはなっていません。ご注意を。

並列プログラムングを基本的なところから説明しようという方針に興味を持って読み始めたが、いかんせん訳が良くない。誤訳とまでは言えないものの、微妙な「ズレ」や「意訳」(意図的なのかは不明だが)がそこかしこに見受けられ理解の妨げになっている。

例えば、p.7 の旗のプロトコルで、原文では「Bobの旗が降ろされたら」(When Bob's flag is lowered, ...) となっているところが「Bobが旗を降ろしたら」と訳されている。一見問題は無いように見えるが、このプロトコルの肝が、旗の状態にのみ依存し、旗を上げ下げしているプロセス(今の場合はBob)の状態に依存しないことが分かりづらくなっている。実際 p.8 でこの点について「納得がいくまで考えてみる価値がある」と言われて、結局原文までたどることになった。(それはそれで勉強になったが)

原著The Art of Multiprocessor Programmingの英文を確認して読めそうならば、そちらを購入することをおすすめする。