訳が良くない
★★☆☆☆
第一章だけ読んで読むのをやめてしまったので、全体としての評価にはなっていません。ご注意を。
並列プログラムングを基本的なところから説明しようという方針に興味を持って読み始めたが、いかんせん訳が良くない。誤訳とまでは言えないものの、微妙な「ズレ」や「意訳」(意図的なのかは不明だが)がそこかしこに見受けられ理解の妨げになっている。
例えば、p.7 の旗のプロトコルで、原文では「Bobの旗が降ろされたら」(When Bob's flag is lowered, ...) となっているところが「Bobが旗を降ろしたら」と訳されている。一見問題は無いように見えるが、このプロトコルの肝が、旗の状態にのみ依存し、旗を上げ下げしているプロセス(今の場合はBob)の状態に依存しないことが分かりづらくなっている。実際 p.8 でこの点について「納得がいくまで考えてみる価値がある」と言われて、結局原文までたどることになった。(それはそれで勉強になったが)
原著The Art of Multiprocessor Programmingの英文を確認して読めそうならば、そちらを購入することをおすすめする。